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2008年06月10日(火) 10時10分

拝啓、派遣会社さま「求職者の痛みに気付いてください」オーマイニュース

 林美幸記者が派遣会社の「 搾取 」についての記事を書いていたが、私は派遣会社の登録制度についてかねて言いたい事がある。

■年齢差別はまだ続いている?

 派遣会社数が500社に近く、仕事の件数が2万件以上というポータルサイトのメールマガジンを受け取っている。ほとんど毎日来るが大体は目次を見るだけで仕事の詳細を見る事はあまりない。なぜなら、昨年10月30日に改正雇用対策法が成立し、求人の際の年齢制限が禁止される事になったのはいいが、実際には若い人に優先的に仕事を回しているようで、35歳を過ぎるとなかなか仕事にありつけないからだ。特に大手がそうなので、有名派遣会社の案件には最初から応募しない。

 年齢差別があいも変わらずまかり通っている現状は、試しに仕事を検索してみるとすぐわかる。検索条件を同じままで、25歳で検索すると517件ある仕事数が、35歳だと10件に激減し、45歳だと3件まで減る。こういう状況を厚生労働省は知っているのだろうか。

■登録に行くための費用負担だって苦しい

 また、派遣会社は登録者数を増やそうとして何でもかんでも登録に来るようにすすめる。登録会社の社員はエアコンの効いた会社にいて待っていればいいのだから痛くもかゆくも(寒くも暑くも)ないだろうが、登録者は不確かな仕事のために交通費をかけ、4、5時間もの時間を使い、労力と気力を消耗するのだ。これで仕事が決まらなかったらどれだけがっくり来るかわかっているのだろうか。登録イコール仕事が確約されるのではない事は重々承知しているが、せめて交通費ぐらいは出すべきだと私は思う。私の知る限り実費をくれるところは皆無、1000円のクオカードなどをくれるのは10社に1社もない。

 私が登録した派遣会社は20ではきかない。何度も仕事をくれた有り難い会社もあったが、大抵は、仕事が発生する度に募集をかけるから長期間連続して仕事が発生するという事は私のケースではほとんどなかった。仕事が終わるか、担当者が辞めてしまえば仕事は途切れる。だからまたどこかに登録に出掛ける事になる。その度に同じようなスキルチェックをされ、適性検査を受けさせられ、履歴書と職務経歴書を提出する。どこの会社でも通用するスキルチェックの制度があれば無駄な時間を費やさないで済むと思うが、例えばワード検定の級を持っていたとしても各会社でワードやエクセルのチェックは受けなければいけないのは本当に時間の無駄だと思う。私はかつては英文タイピストをしていたが、履歴書に1分間に45ワード、と書けば実地試験などせずに済んだのだ。

■え? そんなことあるの? 私の体験談

 35歳を過ぎると派遣の仕事が激減するという厳しい現実があるので、登録には非常に懐疑的で、また、無駄なコストをかけられないため、よほど雇用の可能性が高い時でない限り出向かないようにしている。それでも派遣会社には煮え湯を飲まされる事はないとは言えない。

[ケース1]

 事前に年齢不問である事などを確認し、前夜にメールのやり取りもしていた有楽町のある派遣会社に到着し、スキルチェックを終え、面談という時に「あの案件は決まってしまいました」と言われ、耳を疑った。担当者は携帯に伝言を残したと言うのだが、伝言ではなくどうして電話をしてくれなかったのか。それにスキルチェックの前にどうして言ってくれなかったのか。無駄な時間と交通費を費やしてしまったのに、仕事もなし、実費の支給もなし、伝言したからこちらには非はないというような態度に怒り心頭の私は帰宅後上司に電話をした。彼は非常に恐縮して別の仕事をくれたからまだこの会社は良心的だったと言っていい。

[ケース2]

 つい最近重い腰を上げて都心のある会社に登録に出向いた。大量募集なので雇用の確率が高い、年齢も不問、英語のスキルも問題なさそうだと踏み、張り切って出掛けたのだが、1週間ほどしてとんでもない内容のメールが来た。仕事の発注元が予算のカットだとかで仕事そのものが消滅したと言うのだ。そんな話は聞いた事がない。悪いのはまだ発生するかどうかはっきり決まっていない仕事の募集をかけたこの派遣会社なのか、それとも「仕事をくれてやるのだからキャンセルになったって文句を言うな」という体質の企業なのか、こういう場合、募集の費用などをキャンセルした企業は支払わなくてもいいのだろうか。私にはわからない。

■無駄のない採用の仕組みはできないのか

 派遣会社は登録、登録と言う前に、オンラインで送る履歴書をじっくり見て、電話やメールで当たりを付けて候補者を絞り込んでから登録に誘うようにしたらどうだろうか。

 たった1日だけ仕事のために登録に来させる派遣会社もあれば、たった1人か2人採用するところに朝から晩まで100人以上も面接に呼んでいたラジオ局もあった。「こんなにたくさん応募者を来させて待たせなくてもいいのに」という同じような不満はほかの面接の常連者からも聞いている。企業も派遣会社も求職者の大切な時間とお金をなるべく浪費しないよう、少し考えてみて欲しい。

(記者:工藤 明子)

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