2008年06月05日(木) 09時04分
Windowsは崩壊するしかないのか?(TechTarget)
MicrosoftのWindowsは自らの重みで崩壊の危機にあり、劇的に変わらなければ時代遅れになりかねない。しかし、Windowsは変わっても変わらなくてもうまくいかない──。米調査会社Gartnerのアナリスト、マイケル・シルバー、ニール・マクドナルドの両氏はこう指摘した。
両氏は2008年4月に開かれたGartner Symposium/ITxpoで、ほとんど弁護士的ともいえる論法でこの説を披露した。
熱心な聴衆を前に行った講演で両氏は、Windowsは現代の業務内容に対応するためゼロから設計をやり直す必要があると指摘した。モバイル化、グローバル化する職場ではもはや、ハードウェアに縛られ、1つですべてをこなすOSでは仕事にならなくなっている。これは、例えばラスベガスへ3日間旅行するのに、万が一に備えて冬服まで持っていくようなもので、クレイジーだとシルバー氏は言う。
●かつての抜け目なさ
Windowsは一見、絶滅の危機に瀕しているようには見えない。シルバー氏は、1つの職場のユーザー数を10で割って、職場で使われているアプリケーションの数を推計している。例えばユーザー数が1万人の企業では、通常約1000本のアプリケーションを使っている。Gartnerによれば、その1000本のうち70〜80%はWindowsが必要だ。Microsoftにとってこれは競争上決定的に有利だった。
しかしシルバー氏によると、現代のコンピュータ環境で、今やこの種の互換性は勝ち目がなくなり、「実際このせいで、(組織は)Microsoftの新しいバージョンにすぐに移行できなくなっている」という。これほど大量のものを移行させるのは時間も手間も掛かる。ほとんどの企業がWindows Vistaへの切り替えに二の足を踏んでいるのが現状だ。「Vistaは完全に飛ばしてしまいたいという顧客も多い」とシルバー氏は話す。
●伸び悩み
実際、Microsoftは新しい世界秩序の中で、ソフトウェアだけでなくハードウェアでも問題を抱えている。Gartnerの調査によると、先進市場でのPCの伸び率は年間約2〜8%だ。
新興市場での伸び率は年間16%程度だが、マクドナルド氏の話ではこうした市場は価格に敏感で、出荷されているPCはメモリ容量が少ない。新興市場にとっては低機能版のWindows Vistaでさえも、必要とするメモリ容量が大き過ぎる。Microsoftは今後もこの市場に合わせた調整を行うと言うが、Windowsは新境地を開拓していない。
●複合的なコンピュータ環境
テクノロジーの進歩のおかげで、いつでもどこでもどのような端末からでも仕事ができるようになった。ソフトウェアとハードウェアの強固な関係は緩みつつある。アプリケーションはOSにとらわれなくなっている。かつてのようなOSの在り方に代わって仮想化が登場している。しかしWindows、そしてMicrosoftのライセンス方式は、このレベルの接続性を念頭に置いた設計になっていないとシルバー、マクドナルドの両氏は指摘する。
Windowsは何年もの間、世界で圧倒的な勝者であり、メジャーリリースごとにコードが大量に増えてきた。パワフルなのは確かだが、機動性も柔軟性も最適なセキュリティも失われたとマクドナルド氏は言う。
結論を言うと、Windowsは入れ替える必要があると両氏。しかし、Microsoftは板挟みの状態だという。
「もしWindowsに手を掛けて大きな変更を加えれば、『あまりに大きく変わってしまった。難し過ぎて馴染めない』と言われる。しかし、大きな変更がなければ『新バージョンへの移行に何の意味があるのか』と言われる」(マクドナルド氏)
いずれ、企業はOSにとらわれない環境への移行に目を向け始めるだろう。両氏は聴衆に向け、自分たちの転換点を見極めることだとアドバイスした。もしMicrosoftの変化のペースが鈍く、変化に順応する複合的なコンピュータ環境の職場について行けない場合、代替OSを検討した方がいい。
「金に物を言わせることだ。Microsoftを変えさせることは可能だ」とシルバー氏は述べている。
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