2008年06月04日(水) 11時56分
高齢者狙う「宣伝講習販売」にご用心(オーマイニュース)
激安の食料品目当てに集まる高齢者に対し、特定商取引に関する法律(=旧訪問販売法)に違反した行為をし、高額な健康食品などを販売した7社に対し、5月21日、東京都が3カ月間の業務停止命令を出しました。
食パン3斤が100円、などの新聞の折り込みチラシを見て喜んで店舗に向かった高齢者に対し、「商品は、健康に関するお話を聞いてもらってから販売します」と、締め切った会場に拘束。1時間程度の講習を受けさせ、数日かけて信用させ、最終的に高額商品を買わせることを目的としています。
催眠商法と似た形態を取りながらも、事業者との信頼関係ができ上がってからの販売ということもあり、被害に気がつきにくい構造になっています(詳しくは東京都報発表を参照)
70代前半の女性Aさんは、業務停止命令を受けた7社内の1社に通った経験があり、現在も類似した業務形態を行うS社に通っています。Aさんから見た、会場に集まる高齢者の様子や、高額商品を買ってしまう背景などをお聞きしました。
◇
———宣伝講習販売を行う店舗に通うようになったきっかけは?
「折り込みチラシかな。ちょっと前までは先着30名は無料で食料品をくれる、とかだったのよ。でも、何かそれはまずいらしくて、100円という感じになったのね。でも、卵が3パックで100円とか激安でしょ。話を聞かないといけないから時間がない若い子は来ないけど、暇なお年寄りがたくさん集まるわよ。知り合いが増えて楽しいし、健康の話とか勉強になるしね」
———他社が業務停止命令を受けましたが、影響は?
「全然。処分された会社と自分たちは全然違うと言っているし、相変わらずお年寄りは会場いっぱいに集まってるわよ」
———通われている店舗で、高額商品が売られていますか?
「最初は販売しないけど、あとで出てくるかな。お金がある人は「100万円分買っちゃったわ」て自慢してる。半年分とか、1年分とかセットになるし、いいものはどうしても高額になっちゃうでしょ。私は高いものは買わないかな。激安商品か、体にいいもので月に4000〜5000円で済むようなものは買うことはあるけど、毎回じゃないし。でもね、高いもの買うと、けっこうオマケがつくから、それ目当ての人も多いのよ」
———オマケって何がつくのですか?
「高い商品を買うとね、みんなの目の前でメロンとか、オマケの食料品などをどんどんくれるの。でも、買わない人はもらえない。それに激安商品は「高いものを買った人がいるから配れるんだ」と優越感をあおるから、競って買う人もいるかな。何にも買わないと、バカにされる雰囲気だし。それと1回買うと2〜3 週間、お肉やお魚などの食料品をタダでくれるから、お得感があるの」
———健康食品を買う理由は?
「やっぱり年を取ると、健康への不安はみんな持っているし、講習で先生がいいお話をしてくれるからその気になるわよ。血液サラサラとか、肝臓がきれいになるとか、やっぱり弱いのよね。それに、けっこう1人暮らしの寂しい年寄りも多いから、体のことを親身になって考えてくれる販売員さんの期待に応えたいという部分もあるのかな。あと『限定』って言われると弱い(笑)」
———これから先も通われますか?
「私は激安商品目当てだから、これからも通うかな。けっこうあっちこっちでやってるから、私みたいにぐるぐる回っている、ちゃかりしたお年寄りも多いわよ。でも、最近はチェックが厳しくなって、何も買わない人は、最初の人集めの時しか入れてもらえなくて断られたりしてるかな」
◇
Aさんのお話を聞くと、健康に不安を抱える高齢者に「病気が治る」とうたって健康食品を販売する例も多いそうだ。
「健康はお金じゃ買えないから」と販売員の説明を信じて高額商品を次々に買う人、会場の雰囲気に押され、競って高額商品を買う人などもおり、中には月に100万円〜200万円のお金をつぎ込む人もいるようです。
激安商品に釣られてうっかり訪れたら、逆に散財する羽目になるかもしれません。もし似たようなケースに遭遇した場合は、地元の消費生活センターにぜひご相談を。
(記者:林 美幸)
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