2008年06月04日(水) 17時02分
「国籍のこと、学校で知られたくない」不安の中で生活してきた原告…国籍法訴訟(産経新聞)
日本国籍がないまま、日本で生活を続ける原告は精神的な負担が大きい。原告の子供たちは、学校でクラスメートから差別されるのを恐れながら生活していた。
「昔、いじめられたことがあるから、国籍のことは言いたくない」。原告の1人で、東海地方の小学校5年生、マサミ・タピルさん(10)は表情を曇らせる。学校では、父の姓を名乗っている。
マサミさんは学校のクラブでバスケットボールをしている活発な女の子。人望もあり、児童会の副会長もしている。
しかし3年前、フィリピン国籍だということを学校で知られ、「ガイジン」と言われていじめられた経験があるという。そのときは、1人で絵を描いて遊ぶくらいしかすることがなかった。
母親のロサーナさん(43)は、昭和63年にエンターテイナーとして来日。平成8年に知り合った男性との間に、マサミさんが生まれた。
男性はマサミさんが生まれてから認知。しかし、事情があって結婚はできなかったという。
ロサーナさんは10年ごろ、マサミさんが日本国籍が取得できないことを知って愕然(がくぜん)とした。「生まれる前に認知してもらわないと国籍が取れないなんて知らなかった」と話す。
マサミさんには4歳年下の妹がいる。父親は同じ男性だ。男性は、マサミさんのことを教訓にして出生前に認知したので、妹は日本国籍を取得できた。
「同じ父親なのに、私はなんで日本人になれないの」と、マサミさんは素朴な疑問を口にしていた。
また、神奈川県の小学校に通う原告のアンティケイラ・ジェイサさん(11)は「友達の輪の中に入れない感じ。『こいつとは話したくない』と思われてる気がする」と話す。
ジェイサさんは、フィリピン国籍だということを誰にも話していない。隠したいという。
「法律とか分かんないけど、子供のことも考えてほしい。私も苦しんできたんです」と振り返った。
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