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2008年06月03日(火) 11時48分

ザトウクジラの骨格掘り上げ会に参加したオーマイニュース

 5月31日、宮崎県東臼杵(ひがしうすき)郡門川町の門川漁港内にある乙島で、特定非営利活動法人宮崎くじら研究会(栗田壽男理事長)によるザトウクジラの骨格の掘り上げが行われた。

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 2007年9月にはカズハゴンドウを、同年12月にはオオギハクジラ属のクジラとコブハクジラ属のクジラを掘り上げてきた。私も2回ほどこの骨格掘り上げに参加し、カズハゴンドウのレポートを「クジラ掘り上げ見学会〜カズハゴンドウ〜」としてオ—マイニュースでもお伝えした。

 2回目のコブハクジラ属の掘り上げにも参加したが、1日で掘り上げることができずに日程を変更して掘り上げが行われた。私は日程が合わずに参加することができなかった。

 今回のザトウクジラは、体長8.7メートル。2005(平成17)年2月、門川町沖の枇榔(びろう)島近くで死んだ状態で漂流しているのが見つかった。宮崎クジラ研究会は、骨格標本にするために門川町の協力を得て、乙島に埋設した。今回、日本財団(東京都)の助成を受けて掘り上げることとなった。

 宮崎県におけるザトウクジラの骨格掘り上げは初めてであり、全国でも掘り上げた骨格を標本として展示しているところは、沖縄県の渡嘉敷村立歴史民族資料館、高知県のキラメッセ室戸鯨館、茨城県の大洗水族館、国立科学博物館(東京都)と、数が少ない。また、最近では05年1月に大分県の別府湾でザトウクジラが発見されたが、同年5月に定置網にかかり死んでいることが確認された。その後、埋設され、大分マリーンパレス水族館「うみたまご」が骨格標本を所蔵している。

 今回の掘り上げは2日間。初日は、宮崎クジラ研究会、宮崎大学農学部獣医学科の学生、門川町関係者等の約25人が、重機と人力を使いザトウクジラの骨格を掘り上げ、2日目は門川町内の小学生とその保護者を招いての学習会が行われた。

 乙島は漁港から約10分もかからないところにある。無人島で、その形から「ひょこりひょうたん島」とも呼ばれている。チャーター船で乙島に渡り、まずは、重機により掘り進められた。1.5m程度掘り下げたところ、水が出てきた。その後、出てきた水が障害となったが、重機と人力によって掘り進めた。

 1時間もしないうちに、下顎骨、頭骨が掘り出され、肩甲骨、肋骨などが次々に掘り出された。陸に上げられた骨格にはラベルが付けられ、順番に並べられた。

 2日目の6月1日、門川町内の小学生とその保護者約70名が乙島に上陸。チャーター船を待つ間、「僕たちがクジラをほるの?」「ちょっとこわいなあ」などと子供たちは話していた。

 午前10時から学習会が行われた。宮崎クジラ研究会の栗田理事長による今回のザトウクジラ掘り上げに関する話が、また、宮崎県総合博物館学芸課の末吉豊文学芸員によるザトウクジラの骨格に関する話が行われた。

 その後、海水と柄がついたタワシを使って、ザトウクジラの骨格を洗う作業を体験した。

 最初は臭いに困っていた子供たちも、タワシを使ってきれいになっていく骨格を見ていくうちに、臭いなど気にすることもなくなっていった。スタッフとして参加していた宮崎大学農学部獣医学科の学生の話を聞いたり、逆に子供たちが学生に質問したりして、ザトウクジラの骨格について学んでいた。子供だけでなく、保護者もスタッフに質問するなどして、有意義な学習会となった。

 学習会終了後、ザトウクジラの骨格は県総合博物館に運ばれ、今後1年かけて残った肉片を除去するなどしたあと、骨格標本にされる。

 日本は海洋国家でありながら、私たちは海のことや海の生き物についてはあまり知らない。このようなクジラ骨格の掘り上げの様子はとても貴重である。できるだけ作業をオープンにし、より多くの人に参加してもらうことで、海に関することや生態系のことなどを学んでほしいものである。

(記者:大谷 憲史)

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