2008年06月02日(月) 20時44分
<「消費者庁」構想>法律移管めぐり停滞(毎日新聞)
福田康夫首相の看板政策の「消費者庁」構想が、関係省庁からの法律の移管を巡って停滞気味だ。岸田文雄消費者行政推進担当相は関係5閣僚と折衝したが、目立った成果はなし。新組織の根幹にかかわる問題だけに、首相は欧州歴訪から帰国後、自ら調整に乗り出すことにしている。
首相は5月31日、消費者行政推進会議の佐々木毅座長(学習院大教授)、町村信孝官房長官、岸田氏らを首相公邸に呼び、現状の報告を求めた。その場で首相は岸田氏に「しっかり交渉するように」とはっぱをかけたという。
岸田氏は省庁側とのあつれきを避けるため、折衝の内容を公表していない。だが、こうした姿勢が、他省庁を横にらみしながら法律移管のデメリットを強調する官僚機構の壁を崩せない要因にもなっている。移管が固まったのは、岸田氏が担当する消費者契約法や製造物責任法などごくわずか。霞が関改革の急先鋒(せんぽう)として鳴らす渡辺喜美金融担当相でさえ、今回は貸金業法などの移管に反対する側に回っている。
政府は消費者庁に他省庁への「強い勧告権」を与える方針だが、勧告に実効性を持たせるには、法律の移管によって「実働部隊」も同庁に移す必要がある。しかし、組織の縮小につながる省庁側の抵抗は強く、若林正俊農相は「ものすごく巨大な組織になる。まあ、無理ではないか」と取り合わない。
推進会議は法律移管の問題には関与せず、政府内の調整に委ねているだけに、首相のリーダーシップが問われる。しかし、今後とも折衝が難航するようなら、6月初旬を予定していた最終報告の取りまとめが遅れる可能性もある。【木下訓明】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080602-00000093-mai-pol