40歳の時に、たばこを吸っている人の平均的な余命は、吸わない人と比べて男女とも4年近く短いことが、約30万人を対象にした厚生労働省研究班の調査でわかった。結果をまとめた京都府立医科大の小笹(おざさ)晃太郎・准教授(疫学)は「余命への影響は、実際にはもっと大きいかもしれない。さらに禁煙対策を進めていくべきだ」と指摘する。
喫煙者の平均余命については、昨年、40歳時点で男性は3.5年、女性は2.2年短いという別の研究班の調査が公表されたが、対象は約1万人だった。今回は国内で進められている四つの疫学調査データを使い、90年代に40〜79歳の男女約29万7千人に喫煙習慣などをたずね、約10年間追跡した。約2万6千人が亡くなっていた。喫煙率は男性54%、女性8%だった。
データから年代ごとの余命を計算すると、40歳の男性でたばこを吸う人の余命は38.5年で、吸わない人の42.4年より3.9年短かった。40歳の女性では、喫煙者が42.5年で、吸わない人の46.1年より3.6年短かった。
早めに禁煙すれば、影響は少なくてすむことも確認された。喫煙者の多かった男性で比較すると、40歳の喫煙者の余命は、40代でやめる場合は42.2年、50代でやめる場合は40.1年だった。
たばこの本数と余命との関係では、1日に1〜14本吸う40歳男性は38.3年、15〜24本では38.7年、25本以上では37.9年で、あまり変わらなかった。
こうした調査は一般に、追跡期間が長いほど、吸う人と吸わない人の差が広がるといわれ、英国で50年間追跡した研究では両者の差が10年ほど開いた。また、吸わないという人も、実際には他人の煙にさらされる受動喫煙による健康被害で、本来よりも余命が短くなり、差が小さく見えている可能性もあるという。(田村建二)
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