【ワシントン=小村田義之】異例の長期にわたっている米大統領選の民主党候補者指名レース。劣勢に立つヒラリー・クリントン上院議員が「一発逆転」への期待をかけるのが、ミシガン、フロリダ両州の代議員の「復活」をめぐる31日の民主党党規委員会だ。クリントン氏にとっては事実上、最後の賭けとなる。
米サウスダコタ州の食堂で29日、選挙キャンペーンをするヒラリー・クリントン氏=AP
1月3日にスタートした指名争いは、6月1日の自治領プエルトリコ、3日のモンタナ、サウスダコタ両州の予備選で幕を閉じる。すでにライバルのオバマ上院議員が一般代議員数の過半数を獲得しており、米メディアの専らの関心は、クリントン氏がどのタイミングで撤退を表明するかに向けられている。
だが、クリントン氏は「私は(予備選での)総得票数で勝っている」と主張し、上下両院議員ら特別代議員への働きかけを続けている。ただ、総得票数はクリントン陣営の独自計算。予備選日程を前倒しした制裁として代議員資格を奪われたミシガン、フロリダ両州での得票を上乗せした数字だ。クリントン氏が圧勝した両州を除けば、オバマ氏が総得票数でも上回る。
CNNの集計によると、29日現在の獲得代議員数(一般代議員と特別代議員)はオバマ氏が1981人、クリントン氏が1782人。オバマ氏は指名が確定する過半数の2026人まで、あと45人に迫った。クリントン氏の主張通りに両州の代議員が「完全復活」すれば、過半数のハードルが2210人に上がり、オバマ氏のゴールは遠のく。
一方、いったん決めた制裁を撤回すれば、党規委員会の中立性が問われかねない。次の大統領選で予備選日程を前倒しする州が続出する可能性もある。ミシガン州では制裁の決定を尊重したオバマ陣営などが投票用紙から名前を削除しており、結果的に名前を載せたクリントン氏が1位になった。こうした経緯から、代議員が完全復活されるシナリオは現実味に乏しい。
もっとも、両州は11月の本選挙で重要な大規模州。有権者の意思がまったく反映されないことになれば、不満が高まり、本選挙に悪影響を及ぼしかねない。このため両州の代議員定数の「半分を復活させる案」も浮上。この場合でも過半数は2118人で、クリントン氏にとって逆転は難しい。
党規委の決定がクリントン氏に厳しいものとなれば、早期の撤退表明につながる可能性も出てくる。
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■今後の主な日程
5月31日 民主党党規委員会
6月1日 プエルトリコ(自治領)で民主党予備選
6月3日 モンタナ州、サウスダコタ州で民主党予備選
=同党の予備選・党員集会が終了
8月25〜28日 民主党全国大会(コロラド州で)
9月1〜4日 共和党全国大会(ミネソタ州で)
11月4日 本選挙
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