中国製冷凍ギョーザによる食中毒事件の発覚から4カ月。問題の製品を販売した日本生活協同組合連合会は30日、都内で記者会見し、安全管理や危機対応の強化のため、事業や組織を見直す考えを改めて示した。ただ、事件の原因究明は進まず、回収作業は来年まで続ける方針だ。
「出直し的再編に取り組みたい」と述べた日本生協連の山下会長(右)=東京都千代田区
事件後、日本生協連は外部の専門家からなる検証委員会を設置。会見で、委員長の吉川泰弘・東大大学院教授が最終報告を公表し、独立した食品安全管理部門の新設や、コープ商品への苦情の共有など地域生協との連携の強化を提言した。
日本生協連の山下俊史会長は「生協は中間流通業でなく、工場なきメーカー、コープ・ブランドの責任者だと考え直す」と表明。安全管理担当の増強▽中国の製造委託先工場を現状の3分の2の40工場に集約▽コープ商品を約6200から約4千に統廃合▽苦情情報の会員への情報公開などに取り組む構えだ。
また、山下会長は「問題の製品の回収終了宣言や海外製品の安全宣言はまだできない」とも述べた。問題の「CO・OP 手作り餃子(ギョーザ)」はこれまで約3万4千袋を回収。4月は約80袋、5月は9袋とペースは落ちているが、飯村彰常務理事は「事件発覚まで中国の工場で生産が続いており、1年の賞味期限を考慮すると、来年1月ごろまでは回収を呼びかけたい」という。
一方、輸入元の親会社、日本たばこ産業(JT)は、問題の中国の工場が製品や具材をつくった23商品を回収。計9千万枚の折り込みチラシなど56億円超の経費をかけ、これまでに約68万7千袋を回収した。ただ、「家庭にどれだけ残っているかわからず、作業の終わりが見えない」と広報担当部。問屋やスーパーを回る子会社の男性社員(33)は「一番困っているのは、なぜ農薬成分が混入したのかをいまだに答えられないこと」と早期解決を願っている。(茂木克信、中野晃)
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