三重県警は30日、同県鈴鹿市のパン販売店で買ったパンを食べた同県亀山市のパート従業員の女性(32)が、直後に腹痛を訴え、体内から針状の金属片が見つかったと発表した。鈴鹿署はパンに混入されていた可能性が高いとみて、偽計業務妨害容疑で捜査、女性がけがをしているかどうかを見極め、傷害容疑も視野に入れて調べている。
調べでは、女性は27日午後6時ごろ、鈴鹿市庄野羽山4丁目のショッピングセンター「イオンモール鈴鹿ショッピングセンターベルシティ」内にある「パン工場ベルシティ店」(中山幸治店長)で、菓子パン5個を購入。このうち「おいも畑のレーズンパン」1個を自宅で28日午前6時ごろに食べたところ、飲み込む際にのどに異物感があり、直後にチクチクとした腹痛を感じたという。すぐに病院で診察を受け、エックス線検査で胃の中に長さ約1.5センチ、太さ1ミリ足らずの針状の金属片が見つかり入院した。
金属片は30日午前に排泄(はいせつ)された。一方の先端がとがっていた。同署は防犯カメラの映像に不審人物が映っていないか分析を進めている。
このパン店では店内でパンを焼いて製造し、包装せずに店頭に並べている。店側によると、「おいも畑のレーズンパン」は火曜日限定で、1日4回に分けて製造販売。女性が購入した27日は計180個を完売したという。
イオン中部カンパニー(名古屋市)によると、パン工場ベルシティ店はイオンがフジパンストアー中部本部(名古屋市)に業務を委託。商品のパンは、目視によるチェックを1日3回しているが、検針機は使っていなかったという。
末次綱三・イオン中部カンパニー副支社長は「被害があったことを申し訳なく思っている。検針機を導入して、検査を強化した」と話した。
同ショッピングセンターでは事件発覚後、警備員の巡回数や配置を増やした。このパン店をよく利用するという鈴鹿市の主婦(47)は「食の不安をあおるような行為に腹が立つ。食べる時には、手で割って注意したい」と話した。
三重県内では4月以降、パンに針や金属片が混入される事件が相次いでおり、県警捜査1課のまとめでは、4月27日以降、今回を含めて伊賀、名張、鈴鹿、津、四日市、志摩の6市でパンやまんじゅう、さきイカ計26個から針24本、金属片2個が発見されている。
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