2008年05月30日(金) 13時30分
ポピー大発生は気候変動が原因って本当!?(R25)
ふと気づくと街中でやたら見かけるオレンジ色のポピー。道路沿いにも、公園にも、花壇にも、はたまたコンクリートの隙間からもド根性で生えている。この花、昔はあまり見なかった気がする。もしや、ヒートアイランド現象の影響では? ということで、ポピーの生態に詳しい緑花文化士の山崎厚さんに聞いてみた。
「このポピーはナガミヒナゲシといいます。確かに首都圏で増えています。もともとこの花は地中海原産ですから、冬、そこそこ暖かく、しかもある程度の降雨がある地域に向いています。以前の東京はもっと寒くて雨が少なかったので、ナガミヒナゲシの繁殖には不向きでした。それが、ヒートアイランド現象などの影響で東京の気温が上がるなどして、大増殖しているんです」
なんとヒートアイランド説は本当だった! それにしても、この急激な増殖にはもっと秘密があるような…。
「コンクリートに囲まれた東京の土壌はアルカリ性が強いのですが、地中海産の植物の多くはアルカリ土壌に強いのです。国産の植物はアルカリ土壌に弱いので、ナガミヒナゲシにとってはこれといったライバルがいないことになります。それと、この植物は普通、冬から春にかけて成育し、4〜5月には実が熟して種になります。役所などの草刈りは夏前が一般的ですから、この花にとって生育上、草刈りの影響はなく、むしろ、刈り取られることで種をばらまく結果になっています。さらに、種の寿命が長いので、根っこから抜き取って完全に駆除したつもりになっても、ふとしたきっかけで芽を出すため、いったん定着するとなかなか駆除しきれません」(同)
なんともすごい繁殖力だ。それにしてもこの花、本当にどこにでも生えている。ただ、一時期大繁殖したセイタカアワダチソウも後から天敵の北米産のアブラムシが入ってからは一時の勢いがなくなったように、天敵の出現で一気に減る可能性もあるとか。オレンジのポピーを見るなら今のうちかも。
(R25編集部)
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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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