【北京=峯村健司】中国・四川大地震の震源に近い四川省北川チャン族自治県唐家山にある、土砂崩れで川がせき止められた「土砂ダム」での作業は29日、大雨のため決壊防止の工事が遅れている。29日付の中国紙、法制晩報によると、下流にある99個の放射性物質と5千トンの危険な化学物質を30日夜までにすべて回収、移動させることになった。
新華社通信などによると、唐家山の土砂ダムは大雨で水かさが増して水量は1億6千万立方メートルに達し、土砂堤の最も低い所はあふれるまであと約15メートルまで迫った。ヘリコプターが飛べず、軍は重機の燃料補給のため、1千人の歩兵部隊に10トン余りのガソリンを担がせて現地に派遣した。
中国中央テレビによると、北川県で29日、一時保管していた消毒用の薬品が発火。近くにいた61人の軍や武装警察の隊員が煙を吸って呼吸困難の症状が出たり、目の痛みを訴えたりした。
四川省綿竹では、土砂崩れのため山奥の村に閉じ込められていた建設作業員ら8人が28日、地震発生から16日ぶりにヘリで救助された。8人は炭鉱会社の施設修理のため山中の宿舎にいた。雑草や雨水で飢えをしのいでいた。
一方、29日付の甘粛省地元紙、蘭州晨報によると、甘粛省にある野生パンダの自然保護区が四川大地震で被害を受け、生息しているパンダ102頭が行方不明になっている。土砂崩れで周囲の道路が寸断、調査員が現地入りできていない。
中国政府の29日の発表によると、四川大地震の死者は6万8516人、行方不明者が1万9350人、負傷者は36万5399人に達した。
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