鉄鋼最大手・新日本製鉄(本社・東京都千代田区)は29日、子会社ニッタイ(本社・千葉県野田市)に製造を委託していた天然ガスプラントなどで使う円筒状鋼管12万本以上が、日本工業規格(JIS)で義務付けられた水圧試験が行われないまま試験データが捏造(ねつぞう)され、出荷されていた、と発表した。経済産業省は工業標準化法違反の疑いがあるとして調査に乗り出す方針だ。
鋼管は国内メーカーなど約80社に出荷されていた。ニッタイは27日からこの製品の出荷を停止し、29日からは生産を停止した。新日鉄の中津伸一鋼管事業部長は同日、千葉市内で記者会見を開き、「工業標準化法に違反していると認識している」と述べ、「品質保証責任があり、取引先に誠意を持って対応する」としている。
ニッタイによると、問題の鋼管は直径約11〜120センチ、長さは約4〜11メートル。水圧試験の記録がある03年4月〜08年3月製造分を調べたところ、試験が必要だった約12万6千本のうち、実施を確認できたのは約500本だけで、残りについては「実施されていないと判断している」という。
ニッタイ野田工場の工場長(56)が、過去に試験で不合格になったケースが全くなかったため、試験の必要性を軽視していた。新日鉄は年1回、品質監査をしていたが、無試験を見抜けなかった。この工場長は5年前に新日鉄から出向し、昨年、ニッタイに転籍した。
鋼管の強度試験をめぐっては、JFEスチールの東日本製鉄所千葉地区でも今月、データ捏造など不正が発覚している。
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