29日の東京債券市場は、長期金利の代表的指標である新発10年物国債の流通利回りが大幅に上昇(債券価格は下落)し、終値は前日比0.065%幅高い年1.805%まで上昇した。昨年8月上旬以来、約10カ月ぶりとなる高水準だ。
28日のニューヨーク債券市場では長期金利が一時、前日比0.1%幅高い4.02%に上昇、5カ月ぶりの4%台になった。米長期金利の上昇の流れを受け、東京債券市場でも売り注文が膨らんだ。
米サブプライム問題に端を発した欧米の金融不安がいったんは落ち着きをみせ、日米の株式相場が回復してきていることから、安全な資産とされる債券から株式に資産を移す動きが広がった。「原油価格の高騰などで、世界的にインフレに伴う金利上昇懸念が広がり、国債が買われにくくなっている」(大手証券ストラテジスト)ことも背景にあるとみられる。
長期金利が上昇すると、住宅ローンや企業の借入金利が上がるため、家庭や中小企業の負担が増す。「さらに金利上昇が続けば、景気に悪影響を与える恐れもある」(外資系証券会社)という指摘も出ている。
長期金利は、欧米の金融不安が続いていた4月下旬まで1.3%〜1.4%程度で推移していたが、信用不安がやわらいだ5月中旬に1.7%近くまで達し、その後も上昇傾向が続いていた。(畑中徹)
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