2008年05月29日(木) 12時00分
俗にいう演歌の「こぶし」って一体ナニ?(R25)
正直にいいます。ずっと「拳」だと思ってました。だって、五木ひろしさんが歌うとき握りしめてるでしょう。「拳」。
え、なんの話かって? だから、演歌の「こぶし」ですよ。外国人演歌歌手ジェロの『海雪』がヒットして「下手な日本人よりこぶしのきいた演歌を歌う」なんていわれてるけど、みんな、ほんとに「こぶし」って何だか知っていますか?
複数の音楽関連本で調べたところ、「こぶし」とはもともと長唄や民謡など日本の伝統音楽の用語で、そもそも「小節」という漢字が使われていたのだとか。これは、基本となる旋律の間に細かい節を入れて装飾する発声技法。それらを歌っていた人たちが演歌に取り入れ始めたのが、今の「こぶし」の起源のようだ。
それでは、演歌で俗にいう「こぶし」とはなんなのか? ブレスヴォイストレーニング研究所の福島英先生にお話を伺った。
「こぶしとは楽譜上に表されていないメロディの抑揚のことです。楽譜上に表れないということは、1音の中で高低に少し揺らすということ。その音を動かす感じですかね」
むむむ、ちょっとイメージしづらいのですが…。
「たとえば、ドレミファソというメロディがあったとします。そのときにドとレの間。ここは楽譜には表れませんよね。このドからレに移る間の音を短く上下させるのが“こぶし”と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。ちなみに、1つの音を長く伸ばして規則的に1秒に6回くらい上下させるとビブラートになります」
なんとこの技法、実は世界中の音楽で見られるのだとか。福島さんいわく、「イタリア民謡サンタルチアなどにも、こぶしと同じ技法がありますね」とのこと。じゃあ、こぶしの技法を取り入れるだけでは、演歌っぽく聞こえないということ?
「ジェロさんの『海雪』などは、技法としてのこぶしは入っていないと思います。こぶしがきいているように聞こえるのは、演歌独特のメロディと情感のこもった歌詞があるから。“あなた”とか“愛しい”とか、気持ちを入れたいところにアクセントを加えると、技法としてのこぶしが入っていなくても演歌っぽく聞こえますよ」
このアクセントが、その歌手独特の節だと「五木節」や「八代節」「北島節」となるのだとか。それじゃ、ボクも早速カラオケで…。
「確かにこぶしを込めて歌うと、歌の表情は豊かになりますが、使いすぎるとわざとらしく下品になるので気をつけてください」
はい、皆さんも演歌を歌うときには、こぶしのきかせすぎにご注意を。
(R25編集部)
ジェロのヒットで改めて考える 俗にいう演歌の「こぶし」って一体ナニ?の詳細情報
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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