役員退職金制度を廃止する企業が増えている。6月の株主総会で、役員を務めた期間の長さに応じて支払うことをやめ、企業の業績や株価に連動して報酬額が変わる方式に変更する例が目立つ。
日清食品は6月の株主総会で役員退職金の廃止を決める。その代わりに役員に報酬の一部として、自社の株式を1株1円で購入できる「新株予約権」を与える方針だ。会社の業績を良くし、株価も上昇させれば、より多くの株式の「含み益」が得られる。損保ジャパンや武田薬品工業も6月の株主総会で、役員退職金の廃止と新株予約権を与える制度の導入を決める予定だ。
フジテレビも今年の総会で退職金廃止を決定する予定。また、役員が得る報酬のうち一定額は自社株購入に充てるようにする。退職時に株価が上がっていれば、より多くの利益が得られる仕組みだ。
野村総合研究所が毎年東証1、2部上場企業に行っている調査では、役員退職金制度を廃止する企業は年々増えている。毎年150〜300社が回答しているが、退職金制度が「ない」「最近廃止した」とする企業の割合は、04年の10.7%から、07年には52.6%に増大した。業績に関係なく支給する退職金制度への批判が、外国人投資家を中心に高まっていることが背景にあるという。(橋本幸雄)
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