大阪市の各区役所が区のマスコットキャラクターの活躍に期待を寄せている。滋賀県の「ひこにゃん」のように「ゆるキャラ」人気が沸騰すれば、独自収入も増えると関係者。中には商標登録を目指す動きもあり、財政難にあえぐ大阪市も応援している。
中之島まつりの会場をパレードする区役所のキャラクターたち。手前から、ひらちゃん、なっぴー、スーパーポンポコジャガピーにしなりくん=大阪市北区中之島 スーパーポンポコジャガピーにしなりくん(西成区)=大阪市西成区提供 なっぴー(東住吉区)=大阪市東住吉区提供 いくみん(生野区)=大阪市生野区提供 みのりちゃん(東淀川区)=大阪市東淀川区提供 かさずきん(東成区)=大阪市東成区提供「かわいー」「きゃー」
今年のGW。市役所前であった「中之島まつり」の開会式で、勢ぞろいしたマスコットの着ぐるみ10体が紹介されると、集まった女子中学生たちから歓声が飛んだ。
現在、全24区中13区にマスコットがある。第1号は96年西成区生まれの「スーパーポンポコジャガピーにしなりくん」、略してジャガピー。輪郭と目鼻だちで「西」の字をかたどる、ちょっとお人よしのヒーローだ。ジャガピーの着ぐるみが会場を練り歩くと、同区の小学2年高木雅一君(8)は「マントがあって飛べるところがいい」。
2年前に女性誌、昨年はテレビで「全国デビュー」。プリクラ業者からも利用の申し出があり、区は商標登録を目指しプロジェクトチームをつくった。区幹部は、滋賀県・彦根城築城400年祭マスコット「ひこにゃん」にライバル意識を燃やし、「ジャガピーをひこにゃん級に」と虎視眈々(こしたんたん)と狙う。
東住吉区には昨秋、区の花・なでしこにちなんだ「なっぴー」が誕生。グッズを望む声に応え、携帯電話のストラップなどを製作・販売する予定だ。軌道に乗れば地元商店街とのタイアップも検討するという。
生野区はアジサイがモチーフの「いくみん」。区民らでつくる「普及事業委員会」がビーズセット、バッジなどを販売する。07年度の売り上げは約20万円。収益はグッズ製作代と着ぐるみの維持費にあてられる。
大阪市市民局によると、24区がホームページのバナー広告などで稼いだ07年度の広告収入は計2900万円。今年度はマスコットを活用し、さらなる増収を目指す。市財政局も「区のPRや収入増になるうえに、裏金問題などの不祥事で染みついた大阪市のイメージ回復に一石三鳥の取り組みだ」と喜んでいる。(吉浜織恵)
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〈イラストレーターのみうらじゅんさんの話〉 ゆるキャラはそもそも無駄な存在で、昔は誰も興味を示さなかった。評価が裏返ったのは、命名した僕としてはうれしい。しかし、最近は注目が集まり過ぎて、ゆるいものを作るのが難しくなってしまった。奈良の「せんとくん」のように「なんだ、これ」というものがいい。ブームになれば飽きられる。お金がからむとつまらなくなる。「ゆるキャラ」ブームで金もうけを考えるのはよくない。
http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK200805270071.html