2008年05月26日(月) 12時00分
白熱電球を製造中止にする背景と影響とは?(R25)
青天の霹靂だった。今年4月。甘利経済産業大臣が、2012年をめどに家庭用照明として広く利用されている白熱電球を廃止し、電球形蛍光ランプへの転換を促す方針を示したという報道があった。そのわずか数日後には、業界2位の東芝ライテックが、年間約4000万個製造している一般白熱電球の生産ラインを2010年をめどに、すべて廃止すると宣言。これで年間約50万トンのCO2削減効果が見込めるらしいけれど、なぜ急にそんな話に?
「CO2の排出問題に関して、家庭内に目を向けると、消費電力の約16%が照明器具によるもの。これを減らすには、電球形蛍光ランプへの切り替えが有効です。電球形蛍光ランプは、白熱電球に比べて消費電力が約5分の1と少なく、寿命も約6倍長持ちします。価格がネックになっているのですが、エネルギー消費量とトータルコストを考えると、電球形蛍光ランプの方が望ましいんです。そこで政府としては12年をめどに代替可能なものについて製造・出荷を原則切り替えるという目標を立てました」(経済産業省・省エネルギー対策課・山田さん)
東芝ライテックはこの方針に賛同したというわけだ。また、オーストラリアやフランスなどでも、廃止の方針が打ち出されるなど、白熱電球から電球形蛍光ランプへの転換が、世界的に注目されている。さらに思ったよりも減らないCO2排出量への焦りと、京都議定書の存在も背景にある。2012年は、京都議定書で設定されたCO2排出量対90年比削減目標達成期限で、政府にはなんとか目標水準を達成したいという思いもあるのだろう。
ただし、白熱電球が完全にこの世からなくなるわけではない。調光できる照明のなかには、現在、電球形蛍光ランプでは代替できない製品もあるためだ。とはいえ、これで電球形蛍光ランプへの切り替えが加速するのは間違いない。これで未来まで明るくなればいいんだけど。
(R25編集部)
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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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