2008年05月23日(金) 17時53分
ビル・エモットが大胆予測!オバマはマケインに僅差で勝ち大統領になる(ダイヤモンド・オンライン)
これは番狂わせでも、奇跡でもない。
米大統領選の民主党予備選でバラク・オバマ上院議員が事実上の勝利宣言を行った。「本命はヒラリー・クリントン上院議員」という予備選当初の大方の予想を覆したことから、番狂わせが現実化したとの見方も多いが、そのレトリックは見当違いだ。オバマ氏の勝利、言い換えれば、クリントン氏の敗北は、起こるべくして起きたことである。
ブッシュ共和党政権に愛想を付かした米国民が、今回の大統領選で渇望していることは何か。それは、“新しい米国”のイメージを作り出してくれるリーダーの登場であるはずだ。チェンジ(変化)というオバマ氏の“約束”は、実質的中身を欠いていようとも、民主党有権者の心を奪うはずだと当初より確信していた。
それに対して、クリントン氏は、女性という点では新しいが、「クリントン」という意味では古かった。ブッシュ→クリントン→ブッシュ→クリントンというダイナスティ(君主制)政治を想起させてしまう点で、彼女は戦う前から不利な立場にあったのだ。
では、オバマ氏は果たして大統領になれるのか。結論からいえば、私の予想は、イエスである。ただし、かつてJFK(ジョン・F・ケネディ)がリチャード・ニクソンを僅差で降したときのように、かなりの接戦になるだろう。
僅差はむろんひっくり返る可能性もある。私自身は、その可能性は低いと見ているが、あるとすれば、それは次の二つのオバマ氏の弱点が11月の本選までの間に大きくクローズアップされた場合だと思う。
一つは、安全保障・外交問題。もう一つは、経済政策、その中でも特に格差問題に対する政策である。
前者は、改めて説明するまでもなく、共和党候補に確定しているジョン・マケイン上院議員の得意分野だ。彼は戦争の英雄であるだけでなく、安保問題で存在感を示してきた重鎮議員である。
片や、オバマ氏はこの分野ではほとんど経験がない上に、突拍子もない政策提言を繰り返している。たとえば、イラクからは2009年までに米軍を撤退させると公言しているが、現在のイラク情勢の混迷度合いを考えると、実現できる約束とは思えない。本選までの間に、イラク情勢が悪化したときには、思わぬ失言などで有権者の信頼を失わないとも限らない。
次に、経済政策面に話を移せば、オバマ氏のきわめて曖昧な政策姿勢が気になる。オバマ氏の得意な台詞は、「不公正貿易をなくし、労働者の利益を守り、格差問題を解決する」といった、従来の民主党候補にありがちなものだ。それ自体はいいのだが、具体策を示せていないところに、大衆迎合という意味でも中途半端さを感じる。
ただし、繰り返すが、総合的に見て、形勢はやはりオバマ氏有利だ。なんといってもオバマ氏は、変化の象徴。片やマケイン氏は政策の中身を深めて提示したところで、古い米国の象徴でしかない。オバマ氏が自分で自分の変化のイメージを壊すほどの失態を繰り返さない限り、その“番狂わせ”が起きる可能性はないと確信している。(談)
(聞き手/ダイヤモンドオンライン副編集長、麻生祐司)
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