「学校裏サイト」と呼ばれるインターネットの掲示板で中傷の書き込みを放置され、精神的苦痛を受けたとして、大阪市に住む女子中学生が掲示板の管理人の20代男性に慰謝料など220万円の賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は23日、55万円の支払いを命じる判決を言い渡した。山下郁夫裁判長は「生徒の権利が侵害されていると知りながら放置したことは管理人の義務に反する」と述べた。
判決によると、生徒は1年生だった06年8月、通っていた私立中学の名前がついた学校裏サイトで、実名を挙げて「うざい」「ブス」など88回の書き込みをされた。管理人は翌月、学校側から削除依頼を受けたが応じずに放置。その2カ月後、大阪府警に相談した生徒の両親の依頼で削除した。生徒は学校で好奇の目にさらされ、転校した。
管理人は裁判で「書き込みが実在する特定の個人に関する内容とは確認できなかった」と主張した。しかし、判決は「学校裏サイトは特定の学校の生徒が書き込むことを予定して運営されており、管理人は書き込みをめぐる被害を防ぎ、トラブルには迅速に対応する義務があった」と指摘。管理人が負う法的責任の範囲を定めた「プロバイダー責任制限法」に照らしても免責されないと判断した。