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2008年05月22日(木) 00時00分

「宇宙一」の会社を目指す!?読売新聞

就活SNSを新たに展開

 「『人生革命』というつもりで、ライブレボリューションと名付けました。この会社に関係するすべての人にとって、それまでの生き方を変えるきっかけになりたい」
——「メンバー第一、顧客第二主義」というのも、変わっていると思うのですが。

増永 お客様第一主義というスローガンは、よくあります。しかし、会社に対して満足感を持っていない従業員の対応で、顧客を満足させることができるでしょうか。顧客を大事にするためには、顧客に接している従業員を会社として大事にしよう、というのが「メンバー第一、顧客第二主義」の意味するところです。

 こんなことを公言していると顧客企業から反発があるのではないかと思っていましたが、まったくありませんでした。就職活動で訪れる学生たちは、「こんなに社員を大事にしてくれる会社はない」などと感激してくれています。

——自らいろいろな会社の社長をインタビューして、その内容をメールマガジンで配信する「プレジデントビジョン」も人気です。

増永 18万部を週3回配信していますから、会社名のライブレボリューションより、プレジデントビジョンの方が知名度が高いかもしれません。2003年5月から始めたこのメルマガのメリットは、取材すること自体が社長としての自分の勉強になる、広告媒体として収益になる、自分たちの広報にも使える--という3点です。

 これまでに約150人の社長に会ってきて、いくつかの教訓も得ました。「社長が現場主義を貫いて、現場を自分で見て判断を下すように心がけていなくてはならない」というのはその一つです。

——就活(就職活動)に関する新しい事業を始めていますね。

増永 昨年10月に、就活SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「リクトモ」を開設しました。就職活動中の学生を中心に、内定者、入社1-2年目の若手社員、企業の人事担当者などが交流できるサイトです。

 最近の就職活動では、個人情報保護の観点から大学の就職課がOB名簿を見せないようになっていて、就活のためのOB訪問が難しくなっています。このサイトで大学の先輩や志望企業の社員などを見つければ、生の声を聞くことができ、密な情報収集ができます。

 志望企業を登録すれば、同じ企業を志望する学生と入社前、内定前から仲良くなることもできます。入る前からどんな人と働くことになるのかわかるので、ミスマッチを減らすこともできるのではないでしょうか。

 普通の求人サイトは、企業が有料で求人広告を掲載しますが、リクトモは無料で求人広告を出せるという特徴もあります。

——「プレジデントビジョン」も「リクトモ」も、企業ブランドを冠していません。

増永 ブランドとは信頼であり信用です。そのブランドを他に転用、拡張することを「ブランド・エクステンション」と呼び、それによってブランド(信用)の転用先の事業を有利に展開できると言われています。たとえばAという牛乳のブランドがあって、ヨーグルトに新規参入する時にAヨーグルトという名前を付ける、といった場合です。

 通常、「ブランド・エクステンションにより新規事業を有利に展開しよう」と考えられることが多いのですが、私は逆ではないかと思っています。もし、ブランドを転用した先の事業がダメになったら、本体のブランドにもダメージが及んでしまいます。移り変わりの激しい昨今の経済状況では、新規事業の成功確率はどんどん下がっていると思うのです。

 事業が百発百中で成功すると考えるほうが危ういですよね。だから、敢えてライブレボリューションというブランドを他のサービスに転用していません。

 実は、過去にいくつか失敗した事業もあるんです。そんな経験からも、それらを「ライブレボリューションなんとか」という名前にしていなくて本当に良かったな、と思っています(笑)。(メディア戦略局 新井 庸夫)

(敬称略)

                      

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20080522nt09-1.htm