アスベスト(石綿)による健康被害問題で、大手建材メーカー「ニチアス」の子会社、竜田工業(奈良県斑鳩町)の近くに住み、同社の健康診断で「異常なし」とされていた主婦(当時70)が今年1月、中皮腫で死亡していた。被害者らを支援する「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」奈良支部が22日、発表した。
同支部によると、主婦は同社から約30メートル以内にある自宅に1960年ごろから居住。05年8月、同社が周辺住民を対象に実施した健診でレントゲン検査を受けたが、「異常なし」とされ、より正確な診断ができるコンピューター断層撮影(CT)検査の対象外になった。07年5月にせきや発熱、胸痛などの症状が出始め、胸膜中皮腫と診断されて今年1月に亡くなった。
同社によると、石綿が原因とみられる中皮腫で死亡した周辺住民は4人目。同支部は「不安がある人は継続的に検査を受けてほしい」と呼びかけている。