公立小中学校の校舎耐震化に取り組む自民党の議員連盟(会長=河村建夫・元文部科学相)が21日、会合を開き、倒壊の危険性が高い校舎の工事費を最大で98%、国が負担するため、地震防災対策特別措置法を議員立法で改正することを決議した。民主党など野党にも協議を呼びかける。(中井大助)
避難所の役割も果たす学校施設の耐震化の必要性は以前から指摘されてきた。多くの校舎が倒壊した中国・四川省の大地震をきっかけに、取り組みを早めることにした。公明党の太田代表が20日、福田首相に「学校の耐震補強が進んでいない。補助率を上げないといけない」と進言したのに対し、首相も同意しており、与党内の調整は早急に進みそうだ。
議員連盟の案は、倒壊の危険性が高い校舎について、国庫補助率を現在の2分の1から3分の2に引き上げ、地方交付税措置も拡充するという内容。これにより、現在は約3分の1になっている工事費の地方実質負担部分が、最大で災害復旧工事並みの1.7%にまで下がる。また、耐震診断やその結果公表の義務づけも法案に盛り込み、地方の取り組みを促す。
政府は08年度予算で学校耐震化工事のために約1150億円を計上している。しかし、1校で1億円以上かかることもあり、多くの自治体は財政事情などを理由に工事を見送っているのが実情だ。
文科省によると、公立小中学校の校舎約13万棟のうち、昨年4月現在で耐震性がないと判断されたのは約4万5千棟。このうち1万9343棟で本格的な耐震診断を実施。その22%に当たる4328棟は構造耐震指標(Is値)0.3(耐震強度0.5に相当)未満で、大規模地震で倒壊の可能性が高いという。
◇
〈校舎の耐震化〉 耐震化の対象となるのは、81年以前に建設され、古い耐震基準が適用された公立小中学校の校舎で、約8万棟ある。これは全国の62%に当たる。このうち、改修済みは約2万7千棟で、残りは、耐震診断で「耐震性なし」と判定されたか、耐震診断そのものが未実施。政府は07年、大規模地震で倒壊・崩壊の危険性が高い校舎について、5年間で耐震化を進めることを決めている。
アサヒ・コムトップへhttp://www.asahi.com/national/update/0521/TKY200805210155.html