【ニューヨーク=池松洋】米マイクロソフト(MS)が18日、インターネット検索2位ヤフーに対し、買収に代わる提携案を提示したのは、ネット検索首位を独走する米グーグルを追撃するにはヤフーの取り込みが不可欠とみているからだ。
ヤフー経営陣が、投資家からMSとの合併を目指して委任状争奪戦を仕掛けられていることで、ヤフーからの譲歩を引き出しやすいとの計算もある。7月3日のヤフー株主総会まで緊張した駆け引きが続く。
「ゆるやかな連合」提案今月3日の買収提案取り下げから2週間余り。改めてヤフーに提携を持ちかけたことについてMSは18日の声明で、「ネットおよびネット広告事業の改善、拡大について選択肢を追求した(結果)」と説明した。
買収提案取り下げ後、ビル・ゲイツ会長らMS幹部は単独でネット事業を強化する方針を表明した。だが、現実的にはネット検索で独走するグーグルの追撃態勢を早急に整えるのは、資金量があるMSでも難しい。そこで、ヤフー経営陣が受け入れやすい事業提携や部分的な出資など「ゆるやかな連合」を提案したようだ。
ヤフーとグーグルがネット広告事業の提携で合意が近いと報じられたことも、MSの焦りを誘ったとの見方もある。
譲歩引き出す好機と判断?MSがこのタイミングで再交渉に乗り出したのは、著名投資家カール・アイカーン氏による委任状争奪戦という圧力を受けたヤフー経営陣から譲歩を引き出す好機と判断した可能性がある。
アイカーン氏は今月15日に、MSへの売却を求め、ヤフー取締役の入れ替えを目指す委任状争奪戦に入る方針を表明している。ヤフーがMSの提案を再び拒絶すれば、再編期待で維持されてきた株価が下落し、不満を高めたヤフー株主がアイカーン氏への支持に動く可能性がある。
MSもヤフー経営陣だけではなく、アイカーン氏など「両社の株主や第三者」との協議結果次第で再び買収に動く可能性があることを表明しており、硬軟織り交ぜてヤフー経営陣への揺さぶりをかける姿勢だ。