大阪府熊取町で当時小学4年の吉川友梨さん(14)が下校途中に行方が分からなくなってから20日で丸5年となった。母親の美和子さん(47)は事件の風化を感じながらも、いつ帰ってきてもいいように、友梨さんの服を新調して待ち続けている。
街頭で、情報提供を求めるビラを配る吉川友梨さんの母、美和子さん=20日午後、大阪市中央区、小玉重隆撮影友梨さんは町立熊取北中学の3年生に在籍している。養護教諭の美和子さんは昨春から、町内の別の中学に勤めている。
衣替えの時期、美和子さんは毎回、サイズを少しずつ大きくしながら新しい普段着を買っている。いつでも迎えに行けるよう、車のトランクには、着替えの服一式を入れたボストンバッグを積んでいる。
11日夜、雨の中、熊取北中の同級生の男の子が自宅を訪ねてきてくれた。同校の修学旅行から帰ってきたという。
「友梨ちゃん、一緒に行けへんかったからおみやげ買ってきたで」と袋を手渡してくれた。開けると、旅行先で買った山梨特産のブドウをキャラクターにしたキーホルダーだった。
「今でもビラ配りを続けたり、ホームページで捜索を呼びかけたりして下さっている方がおり、申し訳ないほどありがたく思っています。学校で生徒たちと接していて、つらいと思ったことはありません。むしろエネルギーをもらっています」
それでも時折、友達同士で楽しそうに話している生徒たちを見て、友梨もこの子たちのように普通の学校生活を送れたら、との思いがよぎる。
「この5年間で友梨には楽しいことがたくさん待っていたはずなのに。リセットできるのなら、してあげたい」
美和子さんは昨春、修学旅行の引率で東京・浅草寺に行った。入り口の掲示板に懸賞金をかけて情報を求める事件のポスターがいくつか張ってあった。じっと見て探したが、友梨さんのはなかった。
「世間が関心を失っていくのは、仕方のないことだと思います。ただ、友梨のことを忘れずにいてくれている人は、いると感じます」
美和子さんは20日、支援するNPOのメンバーとともに大阪市中央区の南海難波駅前で、友梨さんの顔写真や特徴が記されたビラを配り、情報提供を求めた。(滝坪潤一)