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2008年05月20日(火) 21時10分

倒壊家屋536万戸、核施設の被災も 四川大地震朝日新聞

 【北京=西村大輔】新華社通信によると、中国の周生賢・環境保護相は20日、四川大地震で核施設が被災していたことを初めて明らかにした。「安全な状態」としているが、場所や放射性物質の種類は伝えられていない。民政省は大地震による倒壊家屋が約536万戸、損壊家屋は約2143万戸に上ると発表。これまでに確認された死者は4万人を超えた。

地震発生から約164時間たった19日に救出され、手当てを受ける王春邦さん(56)(新華社)=AP。新華社通信によると、王さんは四川省青川県のマンガン鉱山のがれきに埋もれていた。救助隊員がかすかな呼吸の音を聞きつけて捜索した。王さんに目立った外傷はなかったが、脱水症などを起こしていた

地震発生から約179時間たった20日未明に馬元江さん(31)が救出され、手当てを受けた(新華社)=AP。新華社通信によると、馬さんは震源に近い四川省ブンセン県映秀の発電所の職員で、会議中に地震が起きた。馬さんは発見から約30時間かかって救出された。小さなすき間にうずくまっていたという

 周・環境保護相によると、民生用の放射性物質計32個が損壊した建物のがれきに埋もれていた。30個は専門家によってがれきから回収され、未回収の2個も場所を特定、「安全防護距離を定め、警戒線を設けた」という。

 四川省内の核関連施設をめぐって放射能漏れの懸念が広がっているが、震災から9日目で核施設の被災が判明したことで、政府の情報管理のあり方に批判が集まりそうだ。

 民政省によると、家屋の倒壊などで避難した被災民は約1235万人。政府は身寄りがなくなった子どもや老人、障害者に対し、3カ月間、毎月600元の補助を出すことを決めた。

 衛生省は全国から医療スタッフ計8450人と救急車577台を被災地に出動させ、中国赤十字はメンタルケアの専門家を派遣。各国の医療支援チームが派遣され、被災地では救助作業から生存者の医療支援に軸足が移り始めた。

 中国地震局によると、20日もマグニチュード(M)4〜5の余震が3回発生。本震発生後、余震が約6500回を超え、M5以上は26回も起きている。22日にかけて被災地で暴風雨や雷雨があると予報しており、ダム決壊や土石流の発生が懸念されている。

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