【北京=峯村健司】中国四川省で12日に起きた大地震で、同省にある803のダムで亀裂が入ったり水がもれたりして決壊の恐れがあることが17日、地元当局者の話でわかった。地震による山崩れが川をせき止めてできた「土砂ダム」が四川省内だけで18カ所あることも判明した。
中国の通信社、中国新聞社によると、日本の援助隊が16日救助活動にあたった広元市青川県の地元政府は17日緊急会議を開き、5カ所ある「土砂ダム」のうち、3千万立方メートルの水がたまっている1カ所が決壊する恐れがあるとして、下流の3万人を安全な場所に避難させることを決めた。県全体が水没する危険があるという。
四川省内には6千余りのダムがあるが、今回の大地震とその後の4千回を超える余震の影響で、コンクリートにひびが入ったり、水力発電関連施設が壊れたりした。震源地に近いアバ・チベット族チャン族自治州ブン川(ぶんせん)=ブンはさんずいに文=県県にある紫坪鋪ダムには多数の亀裂が入り、決壊すると被災者救済本部のある都江堰(とこうえん)市が水没する恐れがある。
地震後の雨でダムの水量が増し、同州茂県の銅鐘ダムは通常の330万立方メートルを大幅に超えた450万立方メートルに達した。停電で動かなかった水門を16日に開け、かろうじて放水できたという。
一方、中国政府は17日、四川大地震の死者が2万8881人、負傷者が19万8347人に達したと発表した。四川省では、依然として1万600人が生き埋めとなっている。
都江堰で救援活動をしているロシアの救助隊は17日夜、外国部隊では初めて、崩れた建物のがれきの中から生存者の女性を助け出した。中国中央テレビによると、2階建ての建物はつぶれていたが、ロシア隊は生存者がいることを確認。女性はけがをしていたが意識はあり、救出後「とても疲れたが、手足を動かすことができる」と話した。
アサヒ・コムトップへhttp://www.asahi.com/international/update/0517/TKY200805170233.html