妻に暴行し傷害罪で罰金10万円の略式命令を受けた三重県内の男性教諭(46)に対し、同県教委が「懲戒処分の指針」に反して記録に残らない文書訓告にとどめていたことが17日、わかった。指針では、人に傷害を負わせた場合、停職または減給と明記しているが、「家庭内の問題」として軽い処分にしていた。
男性教諭は4月に県南部の中学校に転任し、県教委は5月上旬に地元の教育委員会に教諭の処分を連絡したが、校長には伝えなかった。教諭は現在、1年生の学級担任と部活動の顧問をしている。
教諭は04年5月、自宅で妻(45)を殴ったり、首を絞めたりして2週間のけがを負わせた。妻は04年から約2年間ドメスティック・バイオレンス(DV)を受けたとして県警に相談しており、07年11月、伊勢簡裁が教諭に傷害罪で罰金10万円の略式命令を出した。
県教委が07年10月に定めた「懲戒処分の指針」は、人に傷害を負わせた場合、停職または減給と定めている。傷害にならない暴行やけんかでも、減給または戒告としている。処分決定に当たっては、社会に与えた影響なども含めて総合的に判断するとしている。
県教委は今年2月、教諭の傷害罪が確定したことを把握したうえで文書訓告にした。
文書訓告にした理由について、県教委人材政策室は「家庭内の問題であって社会的な影響は少なく、公務員の信用を失墜させるほどの行為ではない」としている。教諭は97年にも生徒2人を殴って文書訓告を受けている。
校長は「ベテランで指導技術に優れた教諭だが、処分については事前に教えてほしかった」と話している。(小泉浩樹)
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