脳卒中や事故などで記憶障害や人格が変わるなどの後遺症を負った「高次脳機能障害者」について、東京都は独自調査を行い、都内の同障害者数を約5万人と推計した。行政側のPR不足などで1割弱の障害者が公的支援を受けられていないことも分かった。
高次脳機能障害は脳の損傷が原因で、(1)物事を覚えられない記憶障害(2)すぐ怒る、幼稚になる、意欲を失うなど行動と感情の障害(3)言葉が話せない、理解できない、などの症状がある。本人や周囲も障害に気づかないことがあり、「仕事の能力がない」などと誤解されるケースも多い。
都は1月、都内全651病院を対象に、1日当たり何人が高次脳機能障害と診断されているかを調べ、年齢構成や平均余命から都内の障害者数を推計した。原因別では病気約8割、交通事故約1割で、65歳以上が5割強だった。
障害者198人の家族も調査。8%が障害者手帳や介護保険の申請をしていないために公的支援を受けておらず、障害で失職し、就職できない人も45%いた。背景には、医師が患者に制度を通知していなかったり、行政側のPR不足などがあるという。
都は行政や企業向けのPR強化を検討。都内2カ所しかない行政の専門相談窓口を全区市に広げたいという。(別宮潤一)
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