詩人、北原白秋(1885〜1942)が、東京大学の校歌として作詞した歌が「運動会歌」に格下げされたことについて、東大に怒っていたらしいことが白秋研究家の調(しらべ)海明(かい・めい)さん(60)の研究でわかった。15日から東京都内で始まった「北原白秋と東大校歌」展で発表された。
白秋は1932年、東大からの依頼で「東京帝国大学の歌」(「大空と」)を作ったが、東大の学内手続きが不十分だったとして「帝大の歌」から運動会(他大学の体育会に相当)の歌に格下げされた。
これに対する白秋の思いは知られていなかったが、調さんはその3年後に雑誌に載った白秋の文章に注目。校歌作りについて「校歌の重要性を自覚していない学校もあって、耐えられないほど驚いた」「あぜんとしたこともあった」といった趣旨の記述があり、状況などから東大のことを言っていると結論づけた。
東大の校歌はその後も定められないまま。東大の検討会は格下げから70年以上たった04年、「大空と」を「暫定的に校歌とする」としたものの異論が出て撤回された。
調さんは「白秋は一度ならず二度も恥をかかされた。東大の体質は70年たっても変わっていない」と話す。
研究成果の展示は17日まで、東京都文京区の画廊タンギー(03・3811・7077)で。無料。(杉本潔)
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200805150057.html