東京慈恵会医科大学(東京都港区)の総合母子健康医療センターは16日、手術時の体重が599グラムの超低体重児の二分脊椎(せき・つい)手術に成功、順調に経過し同日退院したと発表した。同大によると、二分脊椎の手術としては世界最小児という。
乳児は京都府内に住む夫妻の女児。昨年12月17日、母親が里帰り出産した埼玉県川口市内の病院で、予定日より2カ月早い30週で生まれた。出生後、脊椎の一部が開いたままの二分脊椎と診断され、治療のため同センターに転院した。
二分脊椎は、開いた脊椎から神経の束である脊髄(せき・ずい)が露出し、髄液が漏れ出して神経に細菌が入る恐れがある先天性障害。出生後約48時間以内に手術する必要があるという。同センターによると、女児は中でも症状が重く、脊髄が背中から露出し、裂けた状態だった。
出生2日後の同月19日、顕微鏡でみながら、脊髄が皮膚と癒着しているのをはがし、裂けた部分を縫い合わせる手術が行われた。担当した大井静雄教授(脳神経外科)は「出血量も2ccと微量で、輸血なく手術できた」と話した。
女児の経過は順調で、現在では3285グラムまで大きくなった。母親とともに京都府に戻るという。