2008年05月16日(金) 12時19分
<医療事故>帝王切開執刀医、改めて無罪主張 福島地裁(毎日新聞)
福島県立大野病院(同県大熊町)で04年、帝王切開手術中に妊婦(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(40)の第14回公判が16日午前、福島地裁(鈴木信行裁判長)で始まった。弁護側は最終弁論で「通常の医療行為と医師の裁量が問題にされている。単なる結果責任を追及するものに過ぎない」などと述べ、改めて無罪を主張した。
午後には加藤被告も意見陳述し、結審する見込み。
起訴状によると、加藤被告は04年12月17日、帝王切開の手術中、はがせば大量出血するおそれのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させ、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかった。福島地検は「基本的な注意義務に著しく違反した悪質なもの」として禁固1年、罰金10万円を求刑している。
医療行為を巡り医師が逮捕、起訴された異例の裁判で、日本医学会や日本産科婦人科学会など全国の医療団体が「結果責任だけで犯罪行為とし医療に介入している」と抗議声明を出すなど、医学界を巻き込んで論議を呼んだ。これまでの公判で検察側、被告側双方の鑑定医や手術に立ち会った同病院の医師、看護師ら計11人が証言に立った。【松本惇】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080516-00000042-mai-soci