ギタリストの告井延隆が初のソロアルバムを出した。アコースティックギター一本でビートルズの数々の作品を再現しようという意欲作。長いキャリアの中で初めてのソロライブツアーで、いま、全国を回っている。
「一人ビートルズ」に挑戦する告井延隆=都内のライブハウスでアルバム「SGT. TSUGEI’S ONLY ONE CLUB BAND」(トキコプランニング)に収めたのは「キャント・バイ・ミー・ラブ」「ア・ハード・デイズ・ナイト」など16曲。ギターからベース、ボーカルパートまでギター一本で表現して、しかも「聴衆の前で再現できること」を目指したため、録音は「多重録音なし。1トラックの一発録(ど)り」という。「まさに挑戦でした。ビートルズの曲を借りた癒やしのレコードみたいな、半端な企画モノにはしたくなかった」
ビートルズには、ジョンとポールのコーラスのどちらが主旋律かわからない曲も多い。それを告井がギター一本でどう表現したかも聴きどころだ。
告井はセンチメンタル・シティ・ロマンスのリーダー。73年の結成で、今も現役でツアーを続ける長寿バンドだ。長持ちの理由は「あまり売れなくて、お金を巡るトラブルが起きなかったことと、忙しくなり過ぎなかったこと、メンバー同士が必要以上に仲良くしなかったこと」という。
57歳にして初めてのソロライブツアーでは、アルバムに収めきれなかった分も含めて40曲近くを披露している。(編集委員・篠崎弘)