2008年05月14日(水) 20時11分
【法廷ライブ】総連事件初公判(10)捜査批判「検事は机を叩き、罵声『一生刑務所から出られないぞ』」(産経新聞)
《緒方重威被告の弁護人による弁護側の冒頭陳述が続く。緒方被告は、弁護人の朗読に沿って、手元の陳述書ページをめくっている。一方、満井忠男被告は、陳述書に目をやらず、上を向いて読み上げを聞いている。目がときおり、きょろきょろと動いている。緒方被告の弁護人は、被告が付けた日記を例に挙げ、緒方被告に「犯意」がなかったことを強調していく》
緒方被告の弁護人「緒方被告は、河江浩司被告らに(資金調達の)交渉の進捗状況をたずねたところ『交渉中』だったため、(当初の支払い日と考えていた)5月1日の土屋公献元日弁連会長との面談をやめた。手帳の5月1日の欄に『総連支払』『午後1時30分土屋事務所』と書いた記載を、線引きして抹消した」
「5月11日、東京都内の弁護士と投資家と称する5人が訪れた。弁護士は『準備はできています。18日までには振り込みます』と明言したので、緒方被告は安堵。18日、弁護士にファクスしたところ、電話があり、契約書案の確認作業をした。まもなく成約に至ると確信し、手帳に『総連登記完了』と記載しました」
《冒頭陳述は、緒方被告が弁護士から投資を断られるシーンに。詐欺ではなく、本気で投資話を実現しようとしていた点を強調する。緒方被告は、腕組みをしてじっと陳述書を読み、満井被告も、眼鏡をかけて、赤ペンをもってページをめくり始めた》
緒方被告の弁護人「5月18日になっても何の連絡もないことから、緒方被告は河江被告に問い合わせたところ『何の連絡もありません』との返答で、不安な気持ちを強めました。土屋元日弁連会長から『大丈夫ですか』と要請があり、強く待つ気持ちになった」
「24日ころ、河江被告から『投資家から断ってきました』と連絡がありました。緒方被告が『この取引はやめる』と言い、河江被告から『こういうことがあろうかと後輩にヘッジをかけて話してあります。助けてくれると言っています』と言われました」
《助けてくれるというのは、航空ベンチャー会社社長のこと。この社長は東京地検特捜部に対し、弁護側に不利な供述をしている。弁護側は、この社長の供述の信憑性を疑うような指摘をしようとした》
緒方被告の弁護人「河江被告は…」
裁判長「そこは関係証拠として却下しています。公判前整理手続きで決まったことですから」
《公判前整理手続きで決まった証拠以外は、やむを得ない事情がない限り採用されない。弁護人は、裁判長と検察官と議論をした後、指摘に従って続ける》
緒方被告の弁護人「5月26日、緒方被告はベンチャー社長と落ちあい、河江被告と3人で面談した。『海外で60億円のファンドを運用していて、一部、崩して金が送れると聞いています。本当ですか』とたずねた。社長は『意義のあることをやるために投資家になったのであり、総連の話は大義があります。金は大丈夫』と明言しました」
《しかし、支払期限の5月31日朝になっても資金は用意されず、ひとまず朝鮮総連本部の不動産登記を先行させることを決める。緒方被告が同日朝に東京都内のホテルで、河江被告らに説得されたシーンが再現される》
河江被告「今日は金の用意ができていません。登記完了を確認後、直ちに支払います」
満井被告「登記先行のやり方は特別なことではありません」
《弁護側は、緒方被告はこのとき「通常の手続きとは違うが、売り主が納得すれば問題ない」と納得したと主張。当初から朝鮮総連本部をだまし取ろうと画策していたとする検察側の主張を否定する》
《さらに、弁護側は6月8日、公安調査庁の柳俊夫長官から緒方被告に電話があったと指摘し、“公権力の介入”も強調する》
緒方被告の弁護人「柳長官から『総連本部がハーベスト投資顧問会社に売却されたという登記があり、緒方先生が同社の代表になっていますが』と問い合わせがあった。緒方被告が『朝鮮総連は大使館機能を有しており、拠点確保のためにやった』と答えた」
「緒方被告は国家機関による責任追及を予感した」
《弁護側は、緒方被告が逮捕された後の東京地検特捜部の取り調べについても疑問を投げかける》
緒方被告の弁護人「7月18日の取り調べの際、(担当検事から)緒方被告が着席するやいなや『不動産詐欺の事実は起訴し、現金詐欺の事実で再逮捕する』と宣言された」
「2回(弁護士の)接見を求めたが拒否をされた」
「(担当検事が)突如、机を平手で激しく何度もたたき、身を乗り出して拳固を握りしめ、『一生刑務所から出られないぞ。特捜の逮捕は起訴を意味する。甘えるな』などと罵声(ばせい)を浴びせ続けた」
「検事は自らパソコンを操作して勝手に作成した供述調書の文案を示して署名を求めた。内容虚偽だったが、もはや抵抗できずに署名した」
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