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2008年05月14日(水) 20時54分

成都で飲料水求めパニック ネットが発端 四川大地震朝日新聞

 【成都(中国四川省)=冨森ひな子】四川大地震の発生から2日が過ぎた。各地で水道などのライフラインに影響が出るなか、震源地に最も近い大都市・成都では14日、断水するとのうわさが飛び交い、飲料水を買い求める人がスーパーなどに殺到、品切れとなる店が続出した。街角ではペットボトルを何箱も積んで走る自転車や、両手の手提げ袋いっぱいに飲料水を詰め込んで家路を急ぐ姿が見られた。

ペットボトルの水を求めて手を伸ばす被災者たち=14日午後、四川省綿竹、中田徹撮影

 成都で3店を展開するイトーヨーカ堂は、午後3時ごろまでに食品売り場の飲料水が完売した。市中心部にある春熙店では、ペットボトルを棚から奪うようにカートの上下のカゴに詰め込む市民であふれた。箱ごとカートに載せる主婦の姿もあり、レジには長い列ができた。

 市西部の双楠店。店頭では、自分が買おうとしたのにペットボトルを横取りされたと、客同士が殴り合う。がらんとした陳列棚を見て「商品を隠さないで出せ」と店にどなる人。「何軒も店をまわって来たのに」と肩を落とす人。1人で200個のパンを買い占める人。

 「成都イトーヨーカ堂」の三枝富博社長(58)は「さまざまな情報に惑わされた客が、抑制のきかない状態になりかけていて心配だ」と話す。社員や取引先の中にも、「水がなくなる」と風呂に水をためたりしている人がいるという。

 この日に営業を再開した近くの伊勢丹でも、地下の食料品売り場に通常の倍近い客が訪れた。普段はあまり売れない、最も高い1本8元の飲料水を含め、昼過ぎには売り切れた。椿良明・財務担当は「5日間程度断水するという情報が流れた直後から短時間で水がなくなり、牛乳やジュースも売れた」と語った。

 うわさの出どころはインターネット上の書き込み。成都の水公社関係者と名乗る人物により「(上流の水源である)都江堰で化学工場が爆発して流出事故があり、成都と周辺地域で間もなく水の供給が止まる。早く水を確保するように」などと記されていた。

 書き込みについて中国政府の環境保護省は「化学工場から流出して成都の飲料水源を汚染したといううわさはデマ」と否定している。

 市内ではまた、余震を恐れ、自宅に入らず自家用車に寝泊まりする市民らがガソリンスタンドに長い列を作った。中国石油成都支社の幹部は「何時間待っても構わないという市民が朝から行列している」と話した。

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