中国・四川大地震は、開幕まで3カ月を切った北京五輪の運営自体には影響なさそうだ。北京市地震局によれば、市内の五輪会場に異常はなかった。ただし中国国内を回っている聖火リレーは、同五輪組織委員会の広報担当が13日に「現段階では予定通り実施する」と述べたものの、何らかの変更を強いられる可能性が出ている。
聖火リレーの国内ルートは31の直轄市、省、自治区のすべてを回ることが売り物。今月下旬以降、被災した重慶市や四川省などでの実施が予定されている。組織委の治安担当チーム関係者は「全力で救済、復興に取り組んだ上で聖火リレーもすべきだ。四川省などでは走者に被災者を加えるよう提案した」と明かした。ルート変更などが必要となっても最小限にとどめたい考えだ。
13日に福建省で予定通りリレーが行われると、インターネットには「メンツと人命とどっちが大切なのか」など批判や中止を求める書き込みが数多く集まった。今後のリレーはお祭りムード一色ではなくなりそうだが、復興支援の機運や国内の一体感の盛り上げには、続行の方が得策との判断があるようだ。
治安担当チーム関係者は「聖火が災害から立ち直る勇気の象徴になることで、チベット問題による影の部分が薄まる効果もある」と冷徹な見方も漏らした。(共同)