学校図書館を充実させるため、2007年度に国が全国の市町村などに交付税として財政措置した図書購入費約200億円のうち、実際に自治体が本の購入に予算化したのは78%にとどまり、20%超に当たる約44億円がほかの目的に使われていたことが10日、文部科学省の調査で分かった。
図書購入費を“流用”していたのは、調査した約1870の自治体や一部の事務を共有する教育委員会などの82%に上り、その9割が財政難などを理由に挙げた。
文科省は学校の目標冊数「学校図書館図書標準」を定め充実を促してきたが、趣旨が生かされていない実態があらためて明らかになった。図書購入費は地方交付税のため、最終的な使途が自治体の判断に委ねられていることが背景にある。
調査結果によると、07年度に予算化した約156億円の図書購入費の内訳は、小学校向けが約93億5000万円、中学校向けは62億5000万円。国の交付額に対する予算化比率は小学校86%、中学校69%だった。
予算化が100%に満たなかった理由に「財政状況の厳しさ」を挙げた自治体などは小学校向けで89%、中学校向けも88%に達した。「図書標準を達成したため」としたのは小学校6%、中学校7%にすぎなかった。
予算化した割合を都道府県別でみると、青森県が最も低く38%。北海道43%、島根県47%、徳島県49%と続いた。一方、139%の山梨県を筆頭に、東京都、愛知県、鹿児島県の4都県は、国の財政措置の算定を上回る予算を計上していた。
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