公開をめぐり論議を呼んだドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映が10日、大阪市淀川区の第七芸術劇場で始まった。西日本では初の一般公開。劇場には上映の2時間以上前から観客が訪れ、関心の高さをうかがわせたが、抗議行動などの混乱はなかった。
同劇場は、4月に公開予定だった5劇場が上映中止を決めた際にも予定通り上映することを表明し、注目を集めていた。
この日はあいにくの雨だったが、午前9時半の上映開始前から大勢の観客が詰めかけ、8時すぎには早くも約50人が列をつくった。劇場側は開場時間を1時間早めて対応。館内の96席と立ち見席(44人分)に加え、急きょ別の階に映写機を設置し、100席を確保、あわせて2か所で上映した。
また、混乱を防ぐためスタッフやボランティアら30人以上を動員し、上映中も館内を見回るなど不測の事態に備えた。建物周辺には協力要請を受けた警察官も詰めかけ、ものものしい雰囲気となったが、トラブルなどはなかった。
大阪府和泉市からきた教員の橘岡正樹さん(39)は「今の平和や靖国を語るうえで大切だと思って見にきました。上映は、私たちがいろいろなことを語る自由にもつながる」と話していた。