2008年05月09日(金) 13時30分
衆参両院議長の役割と権限とは?(R25)
「ねじれ国会」によって通常国会が混乱するなかで、最近注目されている人たちがいる。河野洋平衆議院議長と江田五月参議院議長の衆参両院議長のふたりがそれだ。たとえば今年1月、ガソリン税をめぐって与野党が対決すると、年度内に一定の結論を得るという「両院議長あっせん」を提案して与党に「つなぎ法案」を撤回させ、年度末にまた国会が空転すれば、今度は与野党幹事長会談を呼びかけたり…。なんだか「ねじれ国会」の行司役といった感じで、やたらと出番が多いのだ。
この両院議長はどんな役割を持っているのか。簡単にいえば、議長は議院の秩序保持に広い権限を持っていて、発言を許可したり秩序を乱した人に退席を命じたり、公正中立な立場での議事進行がおもな仕事。だから、今回のように国会が紛糾したとき、「あっせん案」を提示して事態の収拾をはかろうとするわけだ。過去には中曽根内閣が「売上税」を導入しようとして国民の猛反発を受けると、議長あっせんで法案を廃案にし、小選挙区制導入が議論されていたときは、参院で否決された小選挙区制法案を議長あっせんで復活させたりしている。ただ、議長は議院の「権威」であって、総理大臣のように「権力」を持っているわけじゃない。あっせんが失敗すれば権威に傷がつき、辞任に追いこまれる場合もあるのだ。
とはいえ、両院議長は「司法・立法・行政」の三権のひとつである立法府の長。つまり、総理大臣、最高裁判所長官とならんで日本の根幹をなす制度のトップで、実際、給料の額は総理と同じだし、国会の席はその総理より上座、正副議長は公邸に入居することもできる。なにより国会を召集するのは内閣だが、議長が開会のベルを鳴らさなければ国会そのものが開かれないのである。だが、慣例では議長は議院の第一党から選出されることになっていて、事実上、議長を誰にするかを決めるのは与党。そのへんの慣例や法律も、議長の権威や権限がじゅうぶんに発揮されていないといわれるひとつの要因となっているのかもしれない。
(R25編集部)
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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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