記事登録
2008年05月06日(火) 08時00分

【出版】裁判員制度導入前に…「冤罪ファイル」好調産経新聞

 東京・西新宿の出版社、キューブリックが創刊し、2月発売の創刊号が雑誌としては珍しく版を重ねた「冤罪(えんざい)ファイル」の第2号が1日、発売された。同シリーズは冤罪かもしれないと言われる事件を特集し、いつわが身に降りかかってもおかしくない−と訴えるリポート。司法に関心が薄い層もとらえているようだ。

 特別定価380円の創刊号は10万部を販売した。巻頭インタビューに登場した周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」が日本アカデミー賞を受賞したことも、店頭売りが長い季刊誌には追い風となったようだ。

 興味深いのは編集方針。冤罪というととかく「国家権力の横暴」「民主的な司法制度を」と構えがち。ところが、同誌は「国家権力の暴力であるかの如きイデオロギーには反対」し、「イデオロギーこそ人々の関心を失わせる」と断じ、個々の事件追跡に努める。

 「この話題が最も盛り上がるのは来年5月の裁判員制度導入。そこを念頭に編集しています」というだけあって、裁判員制と陪審制の違いについての記事も。「私人による現行犯逮捕はいつ逮捕されたかあいまい」「裁判官を説得するには、司法独特の言語を使わなければならない」など普段の生活では見えてこない世界を知ることができる。

 真犯人の検挙こそ最良の防犯。原点はいつもかわらない。

(牛田久美)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080506-00000065-san-ent