下着をあらわにした女性らのパフォーマンスで騒動になっていた秋葉原の歩行者天国。見るに見かねた地元有志がパトロールに乗り出した。安心して買い物できる街は取り戻せるか。パトロールに同行した。(竹井陽平)
「何でダメなんだ」。パトロールが始まった先月27日、人気アニメのキャラクターにふんした水色のセーラー服を着た北区の男性(28)が、警察官に食ってかかった。ひともんちゃくしている間に、「何かのパフォーマンスか」と人が集まってきた。「楽しみにしてくれている人もいる。アキバでやらなきゃ意味ないよ」。男性はそう言って人込みに姿を消した。
パトロールは、千代田区、万世橋署、地元町会、電気街の有志約120人が展開。「路上ライブ パフォーマンス禁止」の看板を掲げて街を歩き、路上パフォーマーを注意して回った。人の往来を妨害し、道交法に抵触するという理由だ。
同25日には、きわどい衣装で路上撮影会を開いていた自称グラビアアイドルの女性が都迷惑防止条例違反の容疑で逮捕された(釈放済み)。1973年から始まった歩行者天国だが、路上パフォーマンスは最近、過激さを増し、「親子で安心して買い物に行けない」「人だかりが邪魔で歩けない」と、区や警察に寄せられる苦情は増える一方だった。
地元電器店で作る「秋葉原電気街振興会」の小野一志会長(オノデン社長)は、「コスプレなどアキバの文化は大事にしたいが、節度は守ってもらわないと。『無法地帯』のイメージが広まると買い物客が来なくなってしまう」と危機感を募らせる。
大型連休中の4日もパトロールは行われた。その効果もあって、コスプレ姿はめっきり減った。連休中は巡回を続ける予定だが、区の担当者は「人数が必要なので、長期間続けるのは不可能。来る人の意識を変えるのが目的」と打ち明ける。
都内には、地元から「もういらない」と反発を受けて取りつぶされた歩行者天国もある。竹の子族やバンドブームを生んだ原宿のホコ天は98年、ゴミや騒音問題にへきえきした地元の声で廃止になった。
秋葉原歴30年以上で「萌える聖地 アキバ」を書いたライターの藤山哲人さんは「昔のアキバのホコ天は家族連れがのんびりと家電を買いに来る所だった。地元の理解を得られない行きすぎたパフォーマンスは自分たちの首を絞めることになる」と指摘している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20080505-OYT8T00102.htm