県教委は2日、県立島根中央高(川本町、森脇治夫校長)の男の前事務長(56)がPTA会費など約1260万円を着服したことを明らかにした。前事務長は「消費者金融などに借金があり、生活に困っていた」と話しているという。県教委はさらに調査を進めて懲戒処分を行うが、刑事告訴するかどうかは未定。藤原義光教育長は記者会見で、「県民の信頼を失い、おわびします」と陳謝した。
県教委や同校によると、前事務長は2006年8月〜08年3月、自身が管理していたPTA会費や部活動振興基金などのゆうちょ銀行や民間銀行の6口座から現金を引き出し着服したという。PTA総会での報告の際は、別口座から引き出してPTA会費の口座を穴埋めしており、引き出した回数や総額は不明。
4月28日のPTA役員による監査で通帳残高と帳簿が合わないことが判明、同30日から県教委が調査した。前事務長は着服を認め、これまでに約430万円を返済。前事務長は4月1日から県監査委事務局監査監に異動していたが、5月2日付で総務部付となった。藤原教育長は「前事務長は実直で勤務態度に問題はなかった」とした。
県は2004年に県立学校など県機関の会計マニュアルを作成。県立高校では公金支出の際は校長の決裁を必要とし、通帳と印鑑の管理者と、実際に口座から引き出す者を別にするよう規定した。しかし、島根中央高では、前事務長が通帳や印鑑を1人で管理し、校長決裁を受けずに口座から引き出していたという。
県教委は「マニュアル順守について、県教委として各校をチェックしていなかった。今後、全校で会計の取り扱い状況を調査する」としている。
島根中央高は全校生徒に保護者あての謝罪文を配布し、10日のPTA総会で説明する。森脇校長は「保護者や生徒に心配をかけ申し訳ない。生徒が不安を持たないよう努める」とした。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20080502-OYT8T00634.htm