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2008年05月03日(土) 00時00分

船場吉兆 食べ残し使い回す読売新聞

前社長指示、昨年11月まで

 牛肉の産地などを偽装したとして大阪府警が前役員らを不正競争防止法違反容疑で捜査している大阪市中央区、料亭・船場吉兆の本店が、客が食べ残したアユの塩焼きなどの料理を別の客に使い回していたことがわかった。

 湯木正徳・前社長(74)の指示で行われ、一連の偽装が発覚して休業した昨年11月まで続けられていたという。市保健所は2日、本店を立ち入り調査し、再発防止を指導した。

 市保健所によると、使い回しをしていたのはアユの塩焼きのほか、ゴボウをウナギで包んだ八幡巻き、エビに魚のすり身を塗って蒸した「えびきす」、サケの焼き物、稚アユの素揚げ、刺し身の付け合わせに出していたゼラチン加工品など、少なくとも計6品。

 客が手をつけなかった料理を焼き直したり、揚げ直したりして再利用しており、アユの塩焼きの場合は身をほぐし、白飯にまぜて提供。市の調査に対し、山中啓司料理長(取締役)は「客が急に増え、食材が足りなくなった時に使い回しをした」と説明したという。

 前社長の「きれいな料理を捨てるのはもったいない。利用できるものは利用しろ」という指示で、5、6年前ぐらいから2週間に1回程度、再利用していたといい、2日夜、記者会見した山中料理長は「深くおわびしたい。(1月22日の)営業再開後はやっていない。体調不良を訴えた客はいないと思う」と話した。

 食品の再利用は、品質が保たれ、健康被害を及ぼす恐れがなければ、食品衛生法違反にはならないが、市保健所は「食品を扱う業者としてモラルに反する行為」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20080503gr0a.htm