2008年05月02日(金) 11時29分
恐ろしや水道水“薬漬け” 米国上院で公聴会(FACTA)
米国で水道水に医薬品成分が混入しているという事実が判明、衝撃を与えている。医薬品を服用した人の体内で吸収されなかった成分の残滓が、トイレから下水、そして浄化装置を経て貯水池、河川、湖に流れこみ、濾過しきれない成分が再び上水に循環してしまうというのだ。環境全体に与える影響とともに、飲料水に混じった医薬品を知らずに飲んでいる人体への影響を考えると、ぞっとする話だ。
発端は3月上旬に配信されたAPの調査記事。米国人のうち少なくとも4100万人が毎日利用する水道水に抗生物質、抗うつ剤、性ホルモン剤などさまざまな処方箋薬の成分が混入しているというスクープである。5カ月にわたり全米24の大都市圏に給水される水道水を地方自治体が調査した報告書をAPは入手した。
各自治体は水質調査を実施しても公に発表することがなく、知っているのは担当者だけだという。例えばフィラデルフィアでは鎮痛剤、コレステロール抑制剤、喘息薬、抗うつ剤、心臓疾患薬など56種類の医薬品および副産物の成分が検出された。同様の報告は南カリフォルニア、サンフランシスコ、ニュージャージー北部、ワシントンDCなどでも見つかった。
上院では公聴会開催を決定したほか、医薬品製造大手も未使用の医薬品の廃棄について消費者に呼びかけるキャンペーンを計画している。
(月刊『FACTA』2008年5月号)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080502-00000000-fac-int