ソフトバンクが中国のインターネット市場への攻勢を強めている。中国のネット人口は今年、世界最大になるとの見方もあり、孫正義社長は以前から市場開拓の重要性を強調。ライバル各社も追随する構えを見せている。
ソフトバンクは4月、中国のネット大手オーク・パシフィック・インタラクティブ(OPI)に40%出資し、筆頭株主になることで合意。孫社長が取締役に就いた。投資規模は約400億円になる。
OPIは、学生向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「校内網」を運営している。会員は約2200万人で、国内最大手ミクシィの利用者の約1.7倍。ソフトバンクは今後、関連企業が新サービスを中国で展開する際、OPIの顧客基盤を生かせるとみている。
ソフトバンクは、中国の企業間電子商取引市場の約7割、ネットオークションの約8割を握るアリババグループにも約30%出資済み。アリババは傘下に検索ポータル(玄関)サイトのヤフーチャイナも抱えるが、SNSはなかった。OPIへの出資で、主なネットサービスがそろうことになる。
中国インターネット情報センターの調べでは、中国のネット人口は昨年末に2億1千万人に達したとされ、今年には米国を抜くとの見方もある。このため、日本のIT(情報技術)企業は有望な市場とみて開拓を急いでいる。
携帯電話向けSNSやゲームの無料サイト「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーも、06年に北京に完全子会社を設立し、昨年、SNSサイト「加加城」の試験サービスを始めた。日本では開始から2年余りで会員1千万人を集めたモバゲーの中国版として成長を目指す。
今は中国人が好む内容を探る段階で、収益の柱になるサイトへの広告掲載事業はやっていないが、南場智子社長は「踏ん張ってサービスを続ける」と話す。ミクシィも今月、上海に完全子会社を設立する予定だ。
携帯向け情報配信のインデックス・ホールディングスは昨年、子会社を通じて中国大手通信事業者チャイナモバイルと合弁会社を設立。中国で人気が高い日本の漫画やゲームを携帯利用者に配信するサービスを年内にも始める。(木村和規、澄川卓也) アサヒ・コムトップへ
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