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2008年05月01日(木) 11時19分

<殺人未遂>硫化水素で「一緒に死のうと」…息子逮捕 福島毎日新聞

 福島県警桑折署は1日、硫化水素を発生させて母親を殺そうとしたとして、桑折町南半田、三男の農業、松野信也容疑者(49)を殺人未遂容疑で逮捕した。調べに対し、「家族間のトラブルがあり、一緒に死のうと思った」と供述している。【今井美津子】

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 調べでは、松野容疑者は、自宅で母親の敏子さん(82)の殺害を計画。4月30日午後4時50分ごろ、敏子さんがいる自宅1階八畳間にバケツや洗剤などを持ち込み、硫化水素ガスを発生させて中毒死させようとした疑い。混合する前に別の部屋にいた父親(80)に見つかり、自宅から逃走した。ガスは発生せず、部屋のベッドで横になっていた敏子さんは無事だった。

 松野容疑者は、ガスの発生を知らせる張り紙を自宅玄関の扉に張っていた。同日午後6時半ごろ、自宅近くの山林にいるところを署員に発見された。

 松野容疑者は両親と妻、子供2人の6人暮らし。当時自宅にいたのは3人だけだった。敏子さんは足が不自由で軽い認知症があり、松野容疑者が介護していた。

 関係者によると、敏子さんは要介護3。町内の介護老人保健施設に4月18日まで入所していたが、その後自宅に戻っていた。

 近所の女性は「(松野容疑者は)いつも丁寧にあいさつしてくれて、まじめそうだった。母親を介護していたと聞いていたので、殺そうとするなんて信じられない」と驚いていた。

 現場はJR桑折駅の北約1キロの田園地帯。

 ◇警察庁幹部「これまで聞いたことがない」

 自殺の手段として使われ社会問題化している硫化水素が、殺人未遂の道具として使われた。硫化水素発生時に漏れたガスが周囲にも被害を出していることに目を付けて、事件を引き起こした可能性がある。警察庁は、自殺方法を紹介したインターネットの書き込みの削除を要請したばかりで、「これまで聞いたことがない」(ある幹部)事件に衝撃を受けている。

 先月25日以降、硫化水素によるとみられる自殺は、毎日新聞が報道したものだけで全国で26件26人に及ぶ。近隣住民が「気分が悪くなった」などとして病院に運ばれたり、避難するケースも相次いでいる。

 しかし、硫化水素を発生させる行為自体を取り締まる法律はない。これが、自殺の手段として使われる原因の一つにもなっている。こうしたことから、警察庁は先月30日、ネット上に自殺のための硫化水素製造を促す書き込みを「有害情報」に指定し、接続業者(プロバイダー)などに削除を要請するよう全国警察などに通知した。【遠山和彦】

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