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2008年04月25日(金) 21時04分

<聖火リレー>喧騒の長野 出迎え市民の姿なく毎日新聞

 北京五輪の聖火が25日到着した長野市では、右翼団体の街宣車が走り回るなど、喧騒(けんそう)のボルテージが一気に上がった。聖火リレーを応援しようという中国人留学生も、26日早朝にかけて長野入りする見込み。25日夕、聖火リレーに抗議する男が銃刀法違反容疑で逮捕されるなど「平和の祭典」のイメージとはかけ離れた物々しさに、市民らは戸惑いの色を深めた。

 25日午前、聖火の入ったランタンを乗せたバスが到着したJR長野駅前のホテル。車内の中国関係者らが笑顔で手を振るなど友好的な様子だったのに対し、警戒する機動隊員らはピリピリした表情。周囲には出迎えの市民の姿はほとんどなく、約150人の報道関係者とカメラの放列が並んだ。

 その後は「法輪功」のメンバーとマーチングバンドなど約300人が駅前をデモ行進するなど、さまざまな団体や個人が抗議活動を展開した。チベット人権問題を訴える青森県八戸市、フリーター、伊藤英典さん(25)は「FREE TIBET」「チベット人に自由を」などと看板を掲げた。「チベット人への虐殺を知ってほしい。五輪は支持するが、中国での開催は時期尚早だと思う」と話した。26日も沿道で旗を掲げるという。

 一方、市民。長野市三輪、会社員、小川織絵さん(25)は「明日は会社は休みだけど見に行かない。こんな雰囲気では行く気にならない。今は平穏に終わるのを待っている」と冷ややか。中国人のホームステイを受け入れたことがあるという同市の英会話講師、宮澤元子さん(62)は「五輪は平和の祭典。聖火リレーも楽しくやらないと意味がない」と戸惑いの表情を浮かべた。【神澤龍二、宍戸護、藤原章博】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080425-00000123-mai-soci