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2008年04月25日(金) 13時30分

あえて現在、R25世代の「中流意識」事情を考えてみたR25

かつては“一億総中流”なんていわれた時代もありましたが、最近聞こえてくるのは、“下流”とか“下層”とか、“下”ばかり。反対に“勝ち組”なんて“上”の種族もいるらしい。では、そんな現代の“中流意識”とはどのようなものなのだろう? (財)家計経済研究所の次席研究員・久木元真吾さんに聞いてみました。

「もはや中流という言葉自体がほとんど死後です。高度経済成長期は、三種の神器とか、マイホームとか全員が一律これを達成したら中流という同じ価値観を共有できていたんです。しかし価値観が多様化した現代では、金銭的な満足度と精神的な充足度が必ずしも一致しなくなってしまったんです。たとえば仕事を辞めて田舎でスローライフとか、色んな生き方が受け入れられるようになった。ただし所得における中間層がなくなったわけではありませんから、単純な意識調査をすれば今でも半数以上が収入を基準に“中”と答えますよ」

所得だけでみるなら、現在も“中”の人たちが多数を占めるけど、“中流意識”となると別ということらしい。ちなみにR25世代(25〜34歳)にとっての“中流”とはどのようなものなのだろう?

「40年前のR25世代は、結婚して、子供がいて、家があって、それがあたり前でした。それに経済も右肩上がり、終身雇用である程度出世も約束されていたんです。それがかつての中流の条件です。今ではリストラや倒産も日常的で将来に対する漠然とした不安がまん延しています。なかなか自らのことを気軽に“中流”と見なしづらくなっていると思いますね」(同)

どうやら自由になり多様性が認められるようになった価値観のため、同じ物差しで、他人と自分を比べることを難しくさせ、加えて時代の閉塞感や不安感が、“中流”という意識を持つことを難しくさせているというのが答えらしい。お金と心と時代背景が複雑に絡み合った現在の“中流意識”なかなか一筋縄ではいかないようです。
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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