上限金利の引き下げを柱とする貸金業法の完全施行を前に貸金業者の「巻き返し」を防ごうと、超党派の国会議員連盟が24日、発足した。同法にある、完全施行までに「所要の見直しを行う」という異例の規定をてこに、金利引き下げを止めようとする動きが強まっているためだ。
発足したのは「多重債務問題対策議員連盟」。「多重債務者をなくす」という貸金業法の本来の趣旨が実現するよう厳しく監視する方針だ。
議連には、元金融相の与謝野馨氏(自民)ら各党の国会議員約70人が名を連ねる。設立総会では共同代表の後藤田正純氏(同)が「全会一致で貸金業規制法の改正を成し遂げたのに最近、反対方向の風が吹いている」と指摘。枝野幸男氏(民主)も「逆方向への動きを『芽』のうちにつぶしていく」と述べた。
出席した渡辺金融相も「見直し規定は『昔に戻す』という趣旨の規定ではない」と明言した。
06年12月に成立した貸金業法は、上限金利を現行の29.2%から、10年6月までに20%に下げることが柱。当時は貸金業界が強く反発、一部の融資については20%超の金利を認める特例も検討された。しかし、完全施行前に「見直し規定」をつけることで特例を撤回し、何とか成立にこぎ着けた経緯がある。
法改正を受けて、大手消費者金融が自主的に上限金利を引き下げたこともあり、多重債務者の数は今年2月末には121万人と、1年前に比べて3割以上減った。
一方、運転資金を個人で借り入れるケースが多い中小企業の倒産件数は増えており、「金利引き下げが、個人事業主への貸し渋りを招き、倒産につながっている」との指摘も出ている。さらに、融資が受けられなくなった個人事業主が、法外な金利で貸し付ける「ヤミ金融」に流れる悪循環を招いているとの疑念も消えていない。(吉川啓一郎) アサヒ・コムトップへ
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