2008年04月23日(水) 12時00分
児童ポルノ法改正でネットのエロコンテンツはどうなる?(R25)
3月11日に日本ユニセフ協会が中心となってスタートした、「なくそう!子どもポルノ」キャンペーン。
ヤフー、マイクロソフトとIT系大企業も協賛するこの活動では、児童ポルノの単純所持の違法化や、児童を性的に描いた漫画やゲームなどを「準児童ポルノ」として規制するよう政府・国会に求めていくという。
現在世界には、児童を性目的で扱うポルノサイトが推定で34万以上あるともいわれ、それらのサイトが子どもたちに与える悪影響は日々深刻化している。とくに創作物に関しては、現在の日本の法律では規制の対象になっていないため、明らかにひどい描写がされているものについても、対処できない状況にあるという。
「なくそう!子どもポルノ」キャンペーン公式サイトには、創作物の流布を規制の対象とする理由を「実在の子どもたちが性対象として見られてしまう可能性がある」「日本で作られた子どもの虐待画像が他国の人々によってその性的欲求を満たすために使われている」と記されている。子どもへの性的搾取を助長する画像などの氾濫(はんらん)を抑止し、やがては児童ポルノ市場そのものを撲滅しようというのが同キャンペーンの狙いだ。
これに対して、「準児童ポルノ」の規制に反対する著名ブロガー(本人の希望により匿名)は、「この理屈でいくと、やがては『すべての反社会的で不謹慎な描写は違法』という思想統制的な法律が作られることになり、日本の表現市場は大打撃を受けるかもしれない」と語る。インターネット上を中心に、規制強化への動きを疑問視する意見があるのも事実なのだ。
一方、海外に目を向けてみよう。児童ポルノの法規制が最も厳しい国の一つであるアメリカでは、写真はもちろん、児童ポルノとおぼしきインターネット画像をクリックしただけでも罪に問われるケースがあるという。また単純所持も違法化されているが、「違法画像」がインターネットを通じて簡単に手に入ることからえん罪事件も問題となっており、日本同様に様々な議論を呼んでいる。
守らなければならない「子どもの安全」と、規制に疑問を投げかける「表現の自由」。双方のバランスを的確に判断し、法として運用するのは非常に難しい。
自民党「児童ポルノ禁止法見直しに関する小委員会」は4月10日、被写体が実在しない創作物については規制を見送ることで一致した。識者の間でも様々な見解があり、慎重な議論が続いている。この問題はまだまだ長引きそうだ。
(R25編集部)
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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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